第4章 電磁エンジンにおける運動量秩序 前提:脈流と交流 ここで考える交流は正弦波のいわゆる「単相交流」です。 波形は次図のようになります。 正と負の成分を持ち、電流の流れる方向が逆転します。 図13交流波形
電磁エンジンに流す脈流は、上図の交流の正もしくは負の成分の一方だけを除去したものです。 波形は次図のようになります。 正もしくは負の一方の成分しか持たず、一方向にしか流れないものです。 通電した時間の半分は電流の強さがゼロになります。但し、極めて低電圧にしたものです。 そして、波長(横軸の山一個と直線一本分)の長さが常伝導磁石のリングの長さに一致するものとします。この脈流は超短波電流に相当します。
図14 脈流波形
この脈流が各電子対に与える電磁力の大きさを考えます。 脈流の作る磁場の強さは、脈流の強さに比例します。F=BILですから、その磁場の強さに比例して永久電流は電磁力を受けます。よって、永久電流が受ける電磁力の強さは、脈流の強さに比例します。 また、F=BILですから、脈流が受ける電磁力の強さは脈流の強さに比例します。よって、その反作用として永久電流が受ける電磁力の強さは、脈流の強さに比例します。 したがって、脈流の強さに従って、超伝導磁石に電磁力が働きます。 脈流の強さ、すなわち脈流の山の高さに比例して、異なる強さの電磁力が各電子対に働きます。 図15 脈流による電磁力の大きさ
そして、脈流の波長の長さが常伝導磁石のループ一周の長さ、すなわち超伝導磁石のループ一周の長さと一致するので、超伝導磁石の半分の部分の電子対は受ける電磁力がゼロです。各瞬間において、異なる強さの力積が電子対に与えられることになります。そして、交流波形の移動速度は光速度に近いとされています。ですから、脈流波形が電子対を追い抜いていく形になり、図6のように永久電流を構成するそれぞれの電子対に一定時間内に異なる大きさの力積が与えられます。そして、波形の半分が電流ゼロのため、一定時間の二倍内に一定の値に満たない力積しか与えられない電子対が少なくとも一個存在すると考えます。 したがって、図12の状態が普通の状態となり、永久電流を構成する電子対に働く電磁力の力積が打ち消され、超伝導磁石に働く反発力もしくは吸引力は打ち消されます。ですから、常伝導磁石に働く反発力もしくは吸引力のみが残り、これを推進力として利用できます。 それでも、もしも、図9のように各電子対に同じ値の電磁力方向の運動量が残り、超伝導磁石に反発力もしくは吸引力が生じたとしても、常伝導磁石に生じた反発力もしくは吸引力よりも十分小さいものになると考えられます。
図16 もしも超伝導磁石に電磁力が生じた場合
f1はf2 に比べて十分大きなものになります。 その結果、 F=f1−f2 を推進力として利用できます。
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