Top][Back][Next

審決報告

審判の結果

2010年6月26日に、
25日発送の審決謄本が届きました。
拒絶審決です。
補正(2010年3月2日)を却下する内容を含むものでした。
手続的にも実体的にも違法かつ不当な審決だと考えています。
現在、特許電子図書館の審判検索の「審決速報」で読むことができますが、
超伝導電磁エンジンのホームページ上でも、審決の内容を公開します。
知的財産高等裁判所に対して、7月20日に審決取消訴訟を提起しました。
                          2010年9月1日

審決のPDFファイル(sinketu.PDF/3098KB)は
こちらからダウンロードできます。


  • 発明の名称  高周波超伝導電磁エンジン
  • 日本国特許庁への出願日 2006年4月8日
  • 出願番号    特願2006-130763 
  • 公開番号    特開2007-278265
  • 審判番号    不服2008- 12599
  • 出願人     久保田英文
  • 発明者     久保田英文 

HTM版審決目次       
結 論(1頁)

理 由
 
第1.手続の経緯(1頁)
第2.最後の拒絶理由(1頁〜6頁)
第3.平成22年3月2日付けの手続補正についての補正却下の決定(6頁〜12頁)
第4.本願について(12頁〜14頁)
第5.付言(15頁)



                                                       P1
審決
不服2008− 12599
請求人      久保田 英文



 特願2006−130763「高周波超伝導電磁エンジン」拒絶査定不服
審判事件〔平成19年10月25日出願公開、特開2007−278265
〕について、次のとおり審決する。


結 論
 
 本件審判の請求は、成り立たない。


理 由
 
第1.手続の経緯
 本願は、平成18年4月8日の出願であって、平成19年10月30日付け
の拒絶理由通知に対して、同年11月13日付けで上申書及び物件として
出願人の著作と推定される「超伝導電磁エンジン詳説」が提出され、同年1
2月6日付けで面接がなされ、同年12月12日付けで手続補正書及び意見
書並びに同一出願人による先の出願の出願番号通知及び国際出願番号通知の
写しが提出されたが、平成20年3月24日付けで拒絶査定がなされ、同年
4月22日付けで拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審における平成
21年10月1日付けの拒絶理由通知に対して、同年10月19日付けで意
見書及び手続補正書並びに「資料集」が提出され、平成22年2月15日付
けの最後の拒絶理由通知に対して、同年3月2日付けで手続補正書及び意見
書並びに「資料集2」が提出され、同年4月23日付けで電話による応対が
なされたものである。
 
第2.最後の拒絶理由
 当審において通知した平成22年2月15日付けの最後の拒絶理由におけ
る理由1及び理由2の内容は、以下のとおりである。
 
1.理由1
 平成21年10月19日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に
添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という



                                                       P2


。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
 
                  記
 平成21年10月19日付けでした手続補正後の段落【0014】には、
「高周波超伝導電磁エンジンの超伝導磁石には、各瞬間において、脈流によ
る電磁力がゼロの部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえに、この運動量
秩序に従った一斉変化の動きを電子対はすることができない。ローレンツ力
の力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運動量
に変化せずに、各超電子の反平行運動の運動量に変化し、その散乱を通じて
、最終的には熱エネルギーとして外部に放出される。」と記載されている。
 一方、当該記載に関連して、当初明細書等には、例えば、段落【0014
】において、「高周波超伝導電磁エンジンの超伝導磁石には、各瞬間におい
て、脈流のローレンツ力がゼロの部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえ
に、この運動量秩序に従った動きを電子対はすることができない。ローレン
ツ力の力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運
動量に変化せずに、各超電子の散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとし
て外部に放出される。」などと記載されているものの、「一斉変化の動き」
ができないこと及び「反平行運動の運動量に変化」することについては何ら
記載されておらず、これらのことは、当初明細書等の記載からみて自明な事
項でもない。
 
2.理由2
 本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
 
                 記

 請求項1ないし3に係る発明は、
 「超伝導磁石に対して重ね合わせるように固定したループにその波長がル
ープの一周の長さと一致する程度の高周波数の脈流を流すことにより、その
ループに超伝導磁石の磁界による磁力を発生させる一方、その程度の高周波
数の脈流磁界が作用して超伝導磁石の永久電流に働く電磁力の力積が磁力に
変化しないので、ループに発生した磁力を推進力・制動力・浮力として利用
する」
 という発明特定事項を含むものであり、当該「超伝導磁石の永久電流に働く
電磁力の力積が磁力に変化しないので、ループに発生した磁力を推進力・
制動力・浮力として利用する」根拠として、発明の詳細な説明の段落【00
12】ないし【0015】において、
 「【0012】



                                                       P3


 超伝導磁石5のコイルの形状に沿って重ね合わせるように丈夫で断面積が
大きく消費電力が少ない形状の金属の常伝導体1を超伝導磁石5に固定する
。この形状ゆえに常伝導体は、消費電力が少ない他に二つの長所を有する。
常伝導体に生じる強い推進力を乗り物の骨格に伝えるのに適している。流す
電流を低電圧にできるので、電流が作る磁界の波動の力が弱く、超伝導磁石
に悪影響を与えない。なお、磁場中で電子に働く力を「ローレンツ力」、磁
場中で電流に働く力を「電磁力」とする。そして、導体である電磁石同士が
及ぼしあう反発力もしくは吸引力を「磁力」と呼ぶ。
 【0013】
 常伝導体1には高周波電源2からループを作るようにケーブル4をつなぎ
、一方向のみに断続的に流れる脈流を流す。このループは一回巻きの常伝導
電磁石となる。脈流の周波数は、その波長がループの一周の長さと一致する
程度の高周波数とする。波形の例は図3のようになる。脈流は電流ゼロの部
分が磁界を作らないので、脈流の磁界によるローレンツ力がゼロの部分が超
伝導磁石に恒常的に存在することになる。常伝導体1を絶縁材で覆って脈流
が漏れないようにする。絶縁材は力が加わっても破れない丈夫なものを用い
る。超伝導磁石5の構成するループと常伝導体1とケーブル4の構成するル
ープの間には直接的な作用・反作用の法則が成立する。
  【0014】
 常伝導体1とケーブル4に流れる脈流の作る磁界が作用して超伝導コイル
を流れる永久電流に電磁力が作用するが、そのローレンツ力は、永久電流を
構成する電子対の重心運動を動かすことはできない。電子対の重心運動は永
久電流現象の基本原則・運動量秩序に従った動きしかできないからである。
運動量秩序とは永久電流を構成する電子対すべての重心運動の運動量が一斉
に同じ大きさで変化しなければならないということである。この運動量秩序
は、超伝導磁石の強い磁界を作る永久電流の流れる方向だけではなく、外部
磁場による電磁力が作用する方向にも、働く。高周波超伝導電磁エンジンの
超伝導磁石には、各瞬間において、脈流による電磁力がゼロの部分がある。
よって、脈流波形の形状ゆえに、この運動量秩序に従った一斉変化の動きを
電子対はすることができない。ローレンツ力の力積は電子対の重心運動を動
かすことができないので、重心運動の運動量に変化せずに、各超電子の反平
行運動の運動量に変化し、その散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとし
て外部に放出される。
  【0015】
 従って、脈流の磁界によるローレンツ力を受けて電子対に生じるはずの運
動量、すなわち、永久電流が流れる方向に対して垂直な電子対の重心運動の
運動量から、超伝導コイルの材料が運動エネルギーを得て生じるはずの超伝
導コイルに働く磁力が生じない。これにより常伝導体1に働く磁力のみが残
ることになり、その磁力を直線的運動エネルギーとして利用できる。常伝導



                                                       P4


体1に働く磁力の強さは脈流の強さを変えることでコントロールできる。ま
た、磁力の強さは、常伝導体のループの長さ、超伝導磁石の長さを変えるこ
とで、変化させることができる。また、磁力の強さは、超伝導磁石の磁界の
強さを変えることで、変化させることができる。そして、磁力の方向は、脈
流の方向を逆転させることで、逆転できる。」
 と説明している。
 しかしながら、当該「常伝導体1とケーブル4に流れる脈流の作る磁界が
作用して超伝導コイルを流れる永久電流に電磁力が作用するが、そのローレ
ンツ力は、永久電流を構成する電子対の重心運動を動かすことはできない。
電子対の重心運動は永久電流現象の基本原則・運動量秩序に従った動きしか
できないからである。運動量秩序とは永久電流を構成する電子対すべての重
心運動の運動量が一斉に同じ大きさで変化しなければならないということで
ある。この運動量秩序は、超伝導磁石の強い磁界を作る永久電流の流れる方
向だけではなく、外部磁場による電磁力が作用する方向にも、働く。高周波
超伝導電磁エンジンの超伝導磁石には、各瞬間において、脈流による電磁力
がゼロの部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえに、この運動量秩序に従
った一斉変化の動きを電子対はすることができない。ローレンツ力の力積は
電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運動量に変化せ
ずに、各超電子の反平行運動の運動量に変化し、その散乱を通じて、最終的
には熱エネルギーとして外部に放出される。従って、脈流の磁界によるロー
レンツ力を受けて電子対に生じるはずの運動量、すなわち、永久電流が流れ
る方向に対して垂直な電子対の重心運動の運動量から、超伝導コイルの材料
が運動エネルギーを得て生じるはずの超伝導コイルに働く磁力が生じない。
これにより常伝導体1に働く磁力のみが残ることになり、その磁力を直線的
運動エネルギーとして利用できる。」ことについては、本件出願時の物理学
における技術常識に基づく十分な根拠がなく、発明の詳細な説明によって、
請求項1ないし3に係る発明における「超伝導磁石の永久電流に働く電磁力
の力積が磁力に変化しないので、ループに発生した磁力を推進力・制動力・
浮力として利用する」という発明特定事項を実現できるものであると確認す
ることができない。
 
 例えば、「超伝導磁石には、各瞬間において、脈流による電磁力がゼロの
部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえに、この運動量秩序に従った一斉
変化の動きを電子対はすることができない。」と説明しているが、当該「超
伝導磁石」が、超伝導状態にあるとすれば、「常伝導体1とケーブル4に流
れる脈流の作る磁界」を打ち消すような誘導電流を発生させることは、マイ
スナー効果(必要であれば、平成21年10月19日付けの意見書とともに
提出された「資料集」における資料番号(1):「超伝導入門」の第2章完
全反磁性及び第9章超電導の微視的理論の9.1.6Meissner効果、同資料



                                                       P5



番号(2):「超伝導の世界なぜ起こる?どう使う?」の5模索の時代のマ
イスナー効果と磁気エネルギー、浮き磁石、ロンドン兄弟、マイスナー効果
を推理する及びロンドン方程式並びに6BCS理論の登場のマイスナー効果
と完全導電性、同資料番号(3):「超伝導」のIIIマイスナー効果と磁束
量子化または同資料番号(4):「超伝導による電磁推進の科学」の2.超
伝導電磁推進の基礎の2.5超伝導の概要b.超伝導のマクロな特徴(3)
磁気侵入ゼロ等参照。)として知られており、逆に、そのような誘導電流を
発生させない場合には、超伝導状態にはないといえるから、何れにしても、
上記説明が技術的に妥当なものとは考え難い。
 
 さらに、上記「超伝導磁石には、各瞬間において、脈流による電磁力がゼ
ロの部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえに、この運動量秩序に従った
一斉変化の動きを電子対はすることができない。」との説明に関連して、上
記意見書において「脈流波形は一定の範囲で規則的に変動しますが、光速度
に近い速度で移動しているので、その平均を考えれば十分です。」と主張し
ているように、そもそも「脈流」等の電流が「光速度に近い速度」で全体に
波及することは、良く知られており、「常伝導体1とケーブル4に流れる脈
流」は、「常伝導体1」全体の「各瞬間」において、「脈流」が流れている
状態と、「脈流」が流れていない状態との何れかの状態で存在するといえ、
同様に、「超伝導磁石」全体の「各瞬間」においても、「脈流」による「電
磁力」が作用する状態と、「電磁力」が作用しない状態との何れかの状態で
存在するといえる。
 よって、部分的には「電磁力がゼロ」の期間があるとしても、「常伝導体
1」に「力積」を与えられる程度の期間を考えると、当然に電磁力が作用し
ているものと考えられ、この場合、電子対それぞれにおける相互運動はない
としても、対となった電子全体は動くことが可能であり、この動きに応じて
作用する力については、請求人のいう「運動量秩序」が作用するとは考えに
くい。
 そうすると、結局、上記説明を受け入れることができない。
 したがって、上記「資料集」における(4):「超伝導による電磁推進の
科学」の2.超伝導電磁推進の基礎の2.2電磁力d.船体の得る電磁力に
おいて、「電流ループ間の電磁力は作用・反作用の法則が直接的に成り立つ
」「したがって両ループがともに船体に固定されていると,両者の力がバラ
ンスして船体を動かす力は現れない」と記載されているように、請求人の説
明とは逆に、「脈流の磁界によるローレンツ力を受けて電子対に生じる」「
運動量、すなわち、永久電流が流れる方向に対して垂直な電子対の重心運動
の運動量から、超伝導コイルの材料が運動エネルギーを得て生じる」「超伝
導コイルに働く磁力が生じ」るとともに「ループに発生した磁力を推進力・
制動力・浮力として利用」できないのではないか。



                                                       P6


 また、「脈流」の状態は、上述したとおりであるから、請求項1ないし3
に係る発明において「その波長がループの一周の長さと一致する程度の高周
波数の脈流」を用いたことについて、発明の詳細な説明の記載を参酌しても
、その役割がどの様なものか、電磁推進装置に関して通常の知識を持つ者が
、その作用効果を理解できる程度に記載されたものとは認められない。
 
 また一方で、請求人の主張どおりに「超伝導磁石の永久電流に働く電磁力
の力積が磁力に変化しない」ものとすると、「超伝導磁石」が「永久電流」
によって「永久磁石」として振る舞うことを意味するものと解されるから、
この意味において、「永久磁石」として振る舞う「超伝導磁石」と、「常伝
導体1」との間において、直接的な作用・反作用の法則が成立しないとは考
え難く、このような直接的な作用・反作用の法則から生ずる「磁力」を、そ
れら「超伝導磁石」及び「常伝導体1」を含む系全体の「推進力・制動力・
浮力として利用する」ことができないことも、運動量保存の法則(必要であ
れば、上記意見書における資料番号(4):「超伝導による電磁推進の科学
」の2.超伝導電磁推進の基礎の2.1力と運動c.運動量等参照。)から
明らかである。
 
 よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1ないし3に係
る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない

 
第3.平成22年3月2日付けの手続補正についての補正却下の決定
 
[補正却下の決定の結論]
 平成22年3月2日付けの手続補正を却下する。
 
[理由]
1.本件補正の内容
 平成22年3月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、
明細書の段落【0006】、【0014】及び【0015】について、本件
補正により補正される前の(すなわち、平成21年10月19日付けの手続
補正書により補正された)明細書の下記(1)に示す段落【0006】、【
0014】及び【0015】を、下記(2)に示す段落【0006】、【0
014】及び【0015】へと補正するものである。
 なお、下線は、補正箇所を明示するためのものである。
 
(1)本件補正前の段落【0006】、【0014】及び【0015】
 「【0006】



                                                       P7


 超伝導磁石に対して重ね合わせるように固定したループにその波長がルー
プの一周の長さと一致する程度の高周波数の脈流を流すことにより、そのル
ープに超伝導磁石の磁界による磁力を発生させる一方、その程度の高周波数
の脈流磁界が作用して超伝導磁石の永久電流に働く電磁力の力積が磁力に変
化しないので、ループに発生した磁力を推進力・制動力・浮力として利用す
るエンジン。
  【0014】
 常伝導体1とケーブル4に流れる脈流の作る磁界が作用して超伝導コイル
を流れる永久電流に電磁力が作用するが、そのローレンツ力は、永久電流を
構成する電子対の重心運動を動かすことはできない。電子対の重心運動は永
久電流現象の基本原則・運動量秩序に従った動きしかできないからである。
運動量秩序とは永久電流を構成する電子対すべての重心運動の運動量が一斉
に同じ大きさで変化しなければならないということである。この運動量秩序
は、超伝導磁石の強い磁界を作る永久電流の流れる方向だけではなく、外部
磁場による電磁力が作用する方向にも、働く。高周波超伝導電磁エンジンの
超伝導磁石には、各瞬間において、脈流による電磁力がゼロの部分がある。
よって、脈流波形の形状ゆえに、この運動量秩序に従った一斉変化の動きを
電子対はすることができない。ローレンツ力の力積は電子対の重心運動を動
かすことができないので、重心運動の運動量に変化せずに、各超電子の反平
行運動の運動量に変化し、その散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとし
て外部に放出される。
  【0015】
 従って、脈流の磁界によるローレンツ力を受けて電子対に生じるはずの運
動量、すなわち、永久電流が流れる方向に対して垂直な電子対の重心運動の
運動量から、超伝導コイルの材料が運動エネルギーを得て生じるはずの超伝
導コイルに働く磁力が生じない。これにより常伝導体1に働く磁力のみが残
ることになり、その磁力を直線的運動エネルギーとして利用できる。常伝導
体1に働く磁力の強さは脈流の強さを変えることでコントロールできる。ま
た、磁力の強さは、常伝導体のループの長さ、超伝導磁石の長さを変えるこ
とで、変化させることができる。また、磁力の強さは、超伝導磁石の磁界の
強さを変えることで、変化させることができる。そして、磁力の方向は、脈
流の方向を逆転させることで、逆転できる。」
 
(2)本件補正後の段落【0006】、【0014】及び【0015】
 「【0006】
 超伝導磁石に対して重ね合わせるように固定したループにその波長がルー
プの一周の長さと一致する程度の高周波数の脈流を流すことにより、そのル
ープに超伝導磁石の磁界による磁力を発生させる一方、その程度の高周波数
の脈流磁界が作用して超伝導磁石の永久電流(輸送電流)に働く電磁力の力



                                                       P8


積が磁力に変化しないので、ループに発生した磁力を推進力・制動力・浮力
として利用するエンジン。
  【0014】
 常伝導体1とケーブル4に流れる脈流の作る磁界が作用して超伝導コイル
を流れる永久電流(輸送電流)に電磁力が作用するが、そのローレンツ力は
、永久電流(輸送電流)を構成する電子対の重心運動を動かすことはできな
い。電子対の重心運動は永久電流現象の基本原則・運動量秩序に従った動き
しかできないからである。運動量秩序とは永久電流を構成する電子対すべて
の重心運動の運動量が一斉に同じ大きさで変化しなければならないというこ
とである。この運動量秩序は、超伝導磁石の強い磁界を作る永久電流(輸送
電流)の流れる方向だけではなく、外部磁場による電磁力が作用する方向に
も、働く。高周波超伝導電磁エンジンの超伝導磁石には、各瞬間において、
脈流による電磁力がゼロの部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえに、こ
運動量秩序に従った動きを電子対はすることができない。ローレンツ力の
力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運動量に
変化せずに、各超電子の散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとして外部
に放出される。
  【0015】
 従って、脈流の磁界によるローレンツ力を受けて電子対に生じるはずの運
動量、すなわち、永久電流(輸送電流)が流れる方向に対して垂直な電子対
の重心運動の運動量から、超伝導コイルの材料が運動エネルギーを得て生じ
るはずの超伝導コイルに働く磁力が生じない。これにより常伝導体1に働く
磁力のみが残ることになり、その磁力を直線的運動エネルギーとして利用で
きる。常伝導体1に働く磁力の強さは脈流の強さを変えることでコントロー
ルできる。また、磁力の強さは、常伝導体のループの長さ、超伝導磁石の長
さを変えることで、変化させることができる。また、磁力の強さは、超伝導
磁石の磁界の強さを変えることで、変化させることができる。そして、磁力
の方向は、脈流の方向を逆転させることで、逆転できる。」
 
2.本件補正の適否
 本件補正は、
ア.本件補正前の段落【0014】における「脈流波形の形状ゆえに、この
運動量秩序に従った一斉変化の動きを電子対はすることができない」及び「
ローレンツ力の力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心
運動の運動量に変化せずに、各超電子の反平行運動の運動量に変化し、その
散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとして外部に放出される」を、本件
補正後の段落【0014】における「脈流波形の形状ゆえに、この運動量秩
序に従った動きを電子対はすることができない」及び「ローレンツ力の力積
は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運動量に変化



                                                       P9


せずに、各超電子の散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとして外部に放
出される」へと補正する補正事項と、
イ.本件補正前の段落【0006】における「高周波数の脈流磁界が作用し
て超伝導磁石の永久電流に働く電磁力の力積が磁力に変化しない」、同じく
段落【0014】における「超伝導コイルを流れる永久電流に電磁力が作用
するが、そのローレンツ力は、永久電流を構成する電子対の重心運動を動か
すことはできない」及び「運動量秩序は、超伝導磁石の強い磁界を作る永久
電流の流れる方向だけではなく、外部磁場による電磁力が作用する方向にも
、働く」並びに同じく段落【0015】における「永久電流が流れる方向に
対して垂直な電子対の重心運動の運動量から、超伝導コイルの材料が運動エ
ネルギーを得て生じるはずの超伝導コイルに働く磁力が生じない」を、本件
補正後の段落【0006】における「高周波数の脈流磁界が作用して超伝導
磁石の永久電流(輸送電流)に働く電磁力の力積が磁力に変化しない」、同
じく段落【0014】における「超伝導コイルを流れる永久電流(輸送電流
)に電磁力が作用するが、そのローレンツ力は、永久電流(輸送電流)を構
成する電子対の重心運動を動かすことはできない」及び「運動量秩序は、超
伝導磁石の強い磁界を作る永久電流(輸送電流)の流れる方向だけではなく
、外部磁場による電磁力が作用する方向にも、働く」並びに同じく段落【0
015】における「永久電流(輸送電流)が流れる方向に対して垂直な電子
対の重心運動の運動量から、超伝導コイルの材料が運動エネルギーを得て生
じるはずの超伝導コイルに働く磁力が生じない」へと補正する補正事項と、
からなる。
 そして、上記ア.の補正事項は、上記第2.1.理由1に対応して、「一
斉変化の」及び「反平行運動の運動量に変化し、その」との記載を削除する
ものであり、上記イ.の補正事項は、上記第2.2.理由2に対応して、超
電導磁石の超伝導コイルを流れる永久電流に「(輸送電流)」との記載を付
加して、永久電流を、輸送電流に限定して、渦電流を除外することにより、
特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項である「超電導磁石」
についての概念を変更するものである。
 一方、当該イ.の補正事項に関して、当初明細書等(願書に最初に添付し
た明細書、特許請求の範囲又は図面)には、「輸送電流」について記載され
ていない。
 そして、当初明細書等には、図面とともに、例えば、段落【0012】な
いし【0021】に、
 「【0012】
 超伝導磁石5のコイルの形状に沿って丈夫で断面積が大きく消費電力が少
ない形状の金属の常伝導体1を超伝導磁石5に固定する。この形状ゆえに常
伝導体は、消費電力が少ない他に二つの長所を有する。常伝導体に生じる強
い推進力を乗り物の骨格に伝えるのに適している。流す電流を低電圧にでき



                                                       P10



るので、電流が作る磁界の波動の力が弱く、超伝導磁石に悪影響を与えない

 【0013】
 常伝導体1には高周波電源2からループを作るようにケーブル4をつなぎ
、一方向のみに断続的に流れる脈流を流す。このループは一回巻きの常伝導
電磁石となる。脈流の周波数は、その波長がループの一周の長さと一致する
程度の高周波数とする。波形の例は図3のようになる。脈流は電流ゼロの部
分が磁界を作らないので、脈流の磁界によるローレンツ力がゼロの部分が超
伝導磁石に恒常的に存在することになる。常伝導体1を絶縁材で覆って脈流
が漏れないようにする。絶縁材は力が加わっても破れない丈夫なものを用い
る。超伝導磁石5の構成するループと常伝導体1とケーブル4の構成するル
ープの間には直接的な作用・反作用の法則が成立する。
 【0014】
 常伝導体1とケーブル4に流れる脈流の作る磁界が作用して超伝導コイル
を流れる永久電流にローレンツ力が作用するが、永久電流を構成する電子対
の重心運動を動かすことはできない。電子対の重心運動は永久電流現象の基
本原則・運動量秩序に従った動きしかできないからである。運動量秩序とは
永久電流を構成する電子対すべての重心運動の運動量が一斉に同じ大きさで
変化しなければならないということである。この運動量秩序は、超伝導磁石
の強い磁界を作る永久電流の流れる方向だけではなく、外部磁場によるロー
レンツ力が作用する方向にも、働く。高周波超伝導電磁エンジンの超伝導磁
石には、各瞬間において、脈流のローレンツ力がゼロの部分がある。よって
、脈流波形の形状ゆえに、この運動量秩序に従った動きを電子対はすること
ができない。ローレンツ力の力積は電子対の重心運動を動かすことができな
いので、重心運動の運動量に変化せずに、各超電子の散乱を通じて、最終的
には熱エネルギーとして外部に放出される。
 【0015】
 従って、脈流の磁界によるローレンツ力を受けて電子対に生じるはずの運
動量、すなわち永久電流が流れる方向に対して垂直な電子対の重心運動の運
動量から超伝導コイルの材料が運動エネルギーを得て生じるはずの超伝導コ
イルに働く電磁力が生じない。これにより常伝導体1に働く電磁力のみが残
ることになり、その電磁力を直線的運動エネルギーとして利用できる。常伝
導体1に働く電磁力の強さは脈流の強さを変えることでコントロールできる
。また、電磁力の強さは、常伝導体のループの長さ、超伝導磁石の長さを変
えることで、変化させることができる。また、電磁力の強さは、超伝導磁石
の磁界の強さを変えることで、変化させることができる。そして、電磁力の
方向は、脈流の方向を逆転させることで、逆転できる。
 【0016】
 図4のように回転軸8から等距離の対称的な位置7に二つの高周波超伝導



                                                       P11


電磁エンジンを固定し、高周波超伝導電磁エンジンによる回転半径に対して
垂直な推進力9を回転軸に与え、回転運動エネルギーを得る。高周波超伝導
電磁エンジンと冷却器を一体として回転軸の延長に固定する。高周波電源と
高周波超伝導電磁エンジン・冷却器との接続については、必要に従い、高周
波超伝導電磁エンジン・冷却器・高周波電源を一体として回転体・回転軸の
延長に固定する。あるいは、回転軸とともに回転する二つの端子とブラシを
用いて、電気ケーブルを高周波電源から高周波超伝導電磁エンジン・冷却器
に接続する。
 【0017】
 高周波超伝導電磁エンジンによって得られる回転エネルギーにより、発電
機を回す。
【実施例】
 【0018】
 乗り物の船体の骨格に複数の高周波超伝導電磁エンジンを固定して電子制
御し、推進力・浮力・制動力を与える。配電については、電源から高周波超
伝導電磁エンジンの直前までは高電圧として消費電力を抑え、変圧して低電
圧にして高周波超伝導電磁エンジンに高周波数の脈流を流す。
【産業上の利用可能性】
 【0019】
 あらゆる乗り物を高性能化できる。物を浮かべて楽に移動できる台が製造
できる。極めて巨大な物体をも回転させられる。少ない消費電力で大きな電
気エネルギーを得られる。
【図面の簡単な説明】
 【0020】
  【図1】 高周波超伝導電磁エンジンを上から見た平面図である。
  【図2】 高周波超伝導電磁エンジンを示した側面図である。
  【図3】 常伝導体に流す脈流の波形の例
  【図4】 高周波超伝導電磁エンジンにより回転エネルギーを得る方法
  の概念図である。
【符号の説明】
 【0021】
 1 常伝導体
 2 高周波脈流電源
 3 冷却器
 4 ケーブル
 5 超伝導磁石
 6 波長=ループ一周の長さ
 7 高周波超伝導電磁エンジン固定位置
 8 回転軸



                                                       P12



 9 高周波超伝導電磁エンジンによる推進力」
と記載されているものの、このような記載における永久電流が、渦電流を除
外した輸送電流のみを意味することは、当業者に自明な事項ではない。
 
 なお、上記平成22年3月2日付けの意見書において請求人が主張するよ
うに、超電導磁石において輸送電流を用いること自体は、良く知られている
けれども、当該意見書とともに提出された「資料集2」における資料番号(
1):「超伝導入門」の第23ページに示されているように、輸送電流とは
、外部電源から流される電流のことであって、当初明細書等には、常伝導体
1には、高周波電源2から電流が流されることが記載されているけれども、
超電導磁石5には、冷却器3が接続されることが記載されているのみであっ
て、外部電源から電流が流されることは、記載されていない。
 しかも、当初明細書等には、段落【0018】において、「配電について
は、電源から高周波超伝導電磁エンジンの直前までは高電圧として消費電力
を抑え、変圧して低電圧にして高周波超伝導電磁エンジンに高周波数の脈流
を流す。」と、また、段落【0019】において、「少ない消費電力で大き
な電気エネルギーを得られる。」とも記載されていることから、超伝導磁石
5が、外部電源を有する超伝導電磁石であって、所望により輸送電流を流す
ような構成を意図していたことが、当業者に自明であるとは認められない。
 
 よって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなさ
れたものではなく、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりな
お従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17の2第3項の規
定を満たしていない。
 
3.むすび
 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項
によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2
第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準
用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
 
第4.本願について
1.本願発明
 平成22年3月2日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本
願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年1
0月19日付け手続補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみ
て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下
のとおりのものである。



                                                       P13



 「【請求項1】
 超伝導磁石に対して重ね合わせるように固定したループにその波長がル
ープの一周の長さと一致する程度の高周波数の脈流を流すことにより、そのル
ープに超伝導磁石の磁界による磁力を発生させる一方、その程度の高周波数
の脈流磁界が作用して超伝導磁石の永久電流に働く電磁力の力積が磁力に変
化しないので、ループに発生した磁力を推進力・制動力・浮力として利用す
るエンジン。」
 
2.最後の拒絶理由
 上記平成21年10月19日付け手続補正後の明細書、特許請求の範囲及び
図面に対して、当審において通知した平成22年2月15日付けの最後の
拒絶理由における理由1及び理由2の内容は、上記第2.1.及び2.に記
載したとおりである。
 
3.当審の判断
(1)本願について通知した最後の拒絶理由のうちの一つは、上記理由1の
うちの以下のとおりのものである。
 
 平成21年10月19日付けでした手続補正は、下記の点で当初明細書等
(願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面)に記載した事項
の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
 
                 記
 平成21年10月19日付けでした手続補正後の段落【0014】には、
「高周波超伝導電磁エンジンの超伝導磁石には、各瞬間において、脈流によ
る電磁力がゼロの部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえに、この運動量
秩序に従った一斉変化の動きを電子対はすることができない。ローレンツ力
の力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運動量
に変化せずに、各超電子の反平行運動の運動量に変化し、その散乱を通じて
、最終的には熱エネルギーとして外部に放出される。」と記載されている。
 一方、当該記載に関連して、当初明細書等には、例えば、段落【0014
】において、「高周波超伝導電磁エンジンの超伝導磁石には、各瞬間におい
て、脈流のローレンツ力がゼロの部分がある。よって、脈流波形の形状ゆえ
に、この運動量秩序に従った動きを電子対はすることができない。ローレン
ツ力の力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運
動量に変化せずに、各超電子の散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとし
て外部に放出される。」などと記載されているものの、「反平行運動の運動
量に変化」することについては何ら記載されておらず、このことは、当初明



                                                       P14



細書等の記載からみて自明な事項でもない。
 
(2)上記(1)の理由について検討する。
 そもそも、平成21年10月19日付けでした手続補正は、当審において
通知した平成21年10月1日付けの拒絶理由における『また、「ローレン
ツ力の力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運
動量に変化せずに、各超電子の散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとし
て外部に放出される。」とも主張しているが、方向性を有する運動量が、何
ら方向性を有する運動を生ずることなく、方向性の無い純粋な熱エネルギー
として放出される根拠が不明である。何ら方向性を有する運動を生ずること
なく、方向性の無い純粋な熱エネルギーとして放出されるのであれば、当該
運動量の平均が方向性を有しないこととなるのではないか。』との指摘に対
応して、当該手続補正前の段落【0014】の「ローレンツ力の力積は電子
対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運動量に変化せずに
、各超電子の散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとして外部に放出され
る。」に、「反平行運動の運動量に変化し、その」との記載を付加して、「
ローレンツ力の力積は電子対の重心運動を動かすことができないので、重心
運動の運動量に変化せずに、各超電子の反平行運動の運動量に変化し、その
散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとして外部に放出される。」と補正
することにより、本願発明の発明特定事項である「超伝導磁石の永久電流に
働く電磁力の力積が磁力に変化しない」ことの概念を変更するものである。
 そこで、当初明細書等には、「反平行運動の運動量に変化」する旨の明示
の記載がないことは、明らかである。
 次に、当初明細書等における段落【0014】の「ローレンツ力の力積は
電子対の重心運動を動かすことができないので、重心運動の運動量に変化せ
ずに、各超電子の散乱を通じて、最終的には熱エネルギーとして外部に放出
される。」について、上記平成21年10月1日付けの拒絶理由にて、上記
のとおり指摘したように、最終的に熱エネルギーとして外部に放出されるこ
ととなる各超電子の散乱が、方向性を有する反平行運動の運動量に変化する
ことは、当業者に自明な事項ではない。
 
(3)したがって、本願発明について、平成21年10月19日付けでした
手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。
 
(4)また、上記のとおり、平成22年3月2日付けの手続補正が却下され
た以上、上記理由2のとおり、本願発明についての発明の詳細な説明は、当
業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたも
のでない。



                                                       P15



4.むすび
 以上のとおり、本願は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面
についてした、平成21年10月19日付けの手続補正が、特許法第17条
の2第3項に規定する要件を満たしていない。
 また、本願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号
に規定する要件を満たしていない。
 したがって、本願は、拒絶をすべきものである。
 
 よって、結論のとおり審決する。
 
第5.付言
 請求人は、平成22年3月2日付けの意見書において、「加えて、今回の
拒絶理由通知書で特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていな
いと主張される点については、1.で述べたように、本出願と同時に提出す
る補正書により解消されます。それでも、万一、特許法第17条の2第3項
違反の記載が明細書に残る場合は、どのような形でもよいですから、その旨
お知らせいただき、審理終結前に更なる補正の機会を与えてくださるように
お願い致します。」と主張しているが、このように、新規事項の追加により
補正却下された場合には、補正の機会が無いので、補正をすることができる
期間内に分割出願をすることによって防御の機会を確保すべきことは、平成
22年4月23日付けの電話による応対によって、請求人に連絡したとおり
である。

        平成22年 6月 7日

     審判長  特許庁審判官 深澤 幹朗
            特許庁審判官 志水 裕司
            特許庁審判官 金澤 俊郎


2011年4月6日、目次を付け頁に分けました。






Top][Back][Next