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新経済システムによる資本主義の補完


目次
第1章 はじめに
第2章 価値資本の正当性
第3章 価値資本の経済への影響
第4章 新経済システムの姿
第5章 価値資本の贈与
第6章 新経済システムの利点
第7章 終わりに


第1章 はじめに

 現在、日本経済は戦後かつてない不況下にある。これに対して既成の経済政策をもってすれば限界がある。
 赤字財政による公共投資の増大は、一部の産業を潤すだけで、サービス産業化した経済の実態に合わないし、民間の設備投資にリンケージしない。相乗効果もさほど期待できない。また、赤字財政のつけが将来回ってくる。景気対策を永続させる訳には行かず、その後が問題となる。
 減税、特に恒久減税は効果的であるが、財源を要し、将来の増税につながる。また、貯蓄に回る恐れも有る。
 金融政策で利率を低下させても、現実に需要が見込めなければ企業は設備投資を行わない。住宅ローンを組むことも躊躇われている。
 新産業の育成は当然行うべき政策だが、先見性が必要な上、効果が上がるまでに時間と金がかかる。また、構造改革による経済全体の需要の創出・拡大はさほど期待できず、即効性も無い。
 輸出ドライブによる景気回復は許されず、内需による成長が求められている。
 そして消費が不振なのは、高齢化社会の到来と少子化、財政の悪化、将来の負担増の恐れ、経済の低調(リストラや雇用不安など)により将来が不安だからである。公共投資や減税で景気回復を図れば財政が悪化し、将来に不安が積み重なる。景気回復のための新しい経済政策が必要である。ここへきて従来型政策の無力さが共通認識となりつつある。
 ところで、不況の元凶はバブルの清算過程で生じた地価と株価の下落による一千兆円の消失である。一千兆円もが煙のごとく消えうせてもしごく当然のこととして受けいれられている。経済の動きからすれば、有っても無くても不都合が無い金なら、有るものとして不況対策に使えないものかと考えてしまう。市場の能力を万能視し、市場による金儲けの結果を動かしがたいものとする考えに素朴な疑問を覚える。現行の市場システムを補完する新しいシステムが望まれる。

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