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星の海への道 改訂版



目次
第一章 超光速飛行の可能性(特殊相対論と宇宙論)
第二章 宇宙船に働くG(一般相対論と宇宙船)
第三章 銀河旅行


序論
 天空の星々は、永遠に手の届かないものであろうか。造物主は我々を星を眺めるだけの世界に置き去りにしたのであろうか。地球から見ても超光速となることは不可能と考えられてきた。しかし、虚数も実数となりうるような世界が存在し、無限の質量となるのに必要な力積が有限な値であることが分かったとき、超光速飛行の可能性が開かれる。そして、その力積を与えうる手段が実現するとき、宇宙は我々の近くまで降りてくる。その可能性を追及するのがこの論文である。


第一章 超光速飛行の可能性(特殊相対論と宇宙論)

 第1節 負世界と虚数

 【1】

 特殊相対性理論によれば、【1】がなりたつ。vが、光速度cより大きくなると、【1】の根号の中が負になり実在しない虚数となることが超光速飛行を不可能とする根拠の一つとされる。
 はたして、虚数は現実には存在しえない数なのであろうか。ここで、我々の扱う実数というものについて考えてみる。実数は我々の世界の物質に根拠を持つ。従って、我々の世界の物質が正とすれば、実数もすべて正の数と考えられる。とすると、我々の扱う負の数、-1など、も実数という正の数に演算の都合上マイナスという符号をつけたものに過ぎないことになる。実数はプラスの数もマイナスの数もすべて物質に根拠を持つ正の数を扱っているに過ぎないと考える。
 では正の実数に対する負の数とは何なのか。これが虚数と考えられる。虚数は平方すると負の数になる数である。我々の正の数の世界では数は平方すれば、すべて正になるであろう。しかし、負の数の世界では数は平方すれば、すべて負の数になると考えるのが論理的である。負の数の世界では虚数も実在し、その世界で実数となる。虚数は本質的に負の数なのである。
 では、負の数の世界は実在するであろうか。負の数の実在を支える根拠としては、物質に対して斥力の働く反重力物質を考えられる(反陽子等のいわゆる反物質の集積が反重力物質である可能性もある)。電気力、磁気力に引力と斥力があるのと同様に、引力の働く物質どうし、反重力物質どうしに対し、物質と反重力物質間には斥力を想定できる。この反重力物質の世界が負の世界と考えられる。反重力物質が我々の世界に見当たらないのは、宇宙形成の過程で斥力が働いて、物質の世界とは別に独自の世界を形成したためと考えられる。そして、この世界が宇宙形成の過程で生じたことを否定しえないし、反重力物質世界が存在してこそ、全世界を対称的に考えることが可能となる。宇宙の構造が未決定である以上、このような想定も許されると考える。
 物質と反重力物質の関係から宇宙の歴史を考察してみる。始めは物質と反重力物質は極小空間内にあった。この場合は、物質と反重力物質間に働く斥力は極めて強く不安定化要因となり、宇宙を膨張させるのに大きな力となったと考えられる。これにより、インフレーション宇宙も説明できる。過冷却状態にあったため宇宙にマイナス圧力が生じ、その結果がインフレーションだったと解する必要もない。
 下、我々の世界を正世界、反重力物質の世界を負世界と呼ぶことにする。


【2】

【3】
 
 虚数は負世界では実在する実数であるとすれば、v>cにおける【2】と【3】は、何を意味するのであろうか。【2】は物質についての式であるが、物質が反重力物質に転換するとは考えにくい。また、物質は固有の時空の性質に従うと考えられる。従って、物質の負世界における存在を意味すると考える。つまり超光速では物質は負世界に転移しうる。【3】の場合は、負世界においては、負世界での時間が経過することを意味すると考える。
 なお、ホーキング博士(Stephen Hawking 1942- イギリスの宇宙論学者)は虚数の時間を認められるが、物理学が実在を扱う学問である以上、それは虚数の実在を意味する。また、アインシュタイン(Albert Einstein 1879-1955 理論物理学者)の宇宙項の存在が認められるとすれば、それは負世界の反重力物質の斥力を意味すると考えられる。

 第2節 負世界への突入

  負世界では超光速飛行が可能になる。では、どうすれば負世界に突入できるであろうか。速度が光速に接近すると質量が無限大になることが、一つの壁と考えられてきた。

【4】 【5】


 しかし、私は、【1】を0からcまでの区間、速度で積分することが可能なことを発見した。【4】という公式があるので、【5】となる。この積分に一定の答えが出ることは、πmc/2の一定の力積(力×時間)を与えれば、質量無限大にもなることを意味すると考えられる。これにより、質量無限大の壁は乗り越えられたと考える。
 そして、力積を与えることにより、宇宙船の速度が光速に近くなって、無限大となったとする。質量はエネルギーと等価なので増大した質量が負世界の突入に使われると考えられる。このことは無限のエネルギーで別世界へ行けると考えることもできる。また、ローレンツ収縮により、大きさが0となって世界間の壁をくぐり抜けると考えることもできる。
 我々の世界の構造から、このことを考えてみる。我々の世界の構造は未決定であるが、歪みがありうることは相対性理論等により明らかである。私は、平行線が交わることが認められる非ユークリッドであると考える。マクロではニュートン力学が妥当する。他方、ミクロでは量子力学が妥当する。これに対して、人間サイズの世界ではユークリッド幾何学が妥当する。他方、宇宙サイズの世界では非ユークリッド幾何学が妥当すると考える。そして、彼方で平行線が交わった先が負世界であると考える。このことは宇宙船がまっすぐ進めば、負世界に突入することを意味すると考えられる。次図1参照。


 
 そして、空間が歪んでいるとすれば、宇宙空間においても、宇宙船は等速度運動をすれば曲がってしまうことになる。力を加えてまっすぐ進ませる必要がある。そのためには、
πmc/2の力積を加えればよいことになる。
 では負世界と正世界はどのような関係にあるのか。負世界は正世界と対称的な反重力物質の世界であるから、負世界は正世界に対して影の世界であることが十分考えられる。超ひも理論においても影の世界が想定されている。

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