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★第3章 理論的疑問について(旧版)

☆第1節 作用・反作用の法則について
 この実験装置は何ら作用・反作用の法則に反しません。超伝導磁石の電子対には作用・反作用の法則に従って電磁力が作用します。その作用した電磁力の力積が打ち消されて電子対を動かせないだけなのです。同様の現象をモーター(電動機)が利用しています。モーターは回転軸を回転させて回転運動エネルギーを与えますが、作用・反作用の法則に従えばモーター本体も回転しなければなりません。にもかかわらず、モーター本体が逆回転しないのは、モーター本体の自重や床に固定することによるものです。この自重や床と同じ働きを運動量秩序がしているだけなのです。

 超伝導電磁エンジンと作用・反作用の法則について説明を追加します(2004年11月7日)。モーターの場合について、厳密に言えば、モーター本体や床も動いているとの指摘がありました。しかし、その反作用に基づく動きは、人間がモーターの回転軸の回転運動エネルギーを利用するのに支障が無いものになっています。電磁エンジンの場合も、反作用が発生しても、人間が超伝導磁石に固定された常伝導体の運動エネルギーを利用するのに支障がないようになっているのです。
 この説明でも満足できない方はこちらをクリックしてください。


☆第2節 エントロピーの増大について
 全くエントロピーを増大させることなく、質の良いエネルギーを生み出したことになり、熱力学第二法則に反するのではないかという疑問に対しては次のように答えます。私の装置はモーターと同様に反作用は生じていますが、それを別の力で打ち消しているだけです。また、私の装置はモーターと同様に電力を消費します。冷却器と脈流が電力を消費します。 私の装置により、図4の通常の電磁力が残る場合Aよりも、質の良いエネルギーが得られると考えられるでしょうか。電磁力の打ち消しの有無を考慮して、Aの場合とBの場合を比べてみます。物理的に全体を見ればAの場合のほうが優れているともいえます。なぜなら、作用と反作用が別々に生じる以上、Aの場合は作用と反作用でBの場合の二倍の運動エネルギーを自然界に生じさせると考えられるからです。そして、私は電磁力が、全然発生しないと言うつもりは全くありません。発生した電磁力の力積が超伝導の特性により打ち消されてしまう場合があると考えているに過ぎません。また、人間が利用する場合の立場からみて、真に利用価値があるのは、私の装置からするとBの場合ということになりますが、あくまでも人間の利用の立場から見た場合であって、物理的なものではありません。また、電磁力(の反作用)を利用する立場からすると、人間の立場から見てもAのほうが良いこととなります。
 以上より、Bの場合のほうがAの場合よりも物理的に優れているとはいえないことになります。そして、私は超伝導の特性により電磁力が打ち消される場合を電磁力が残る通常の場合と比べていますが、電磁力が残る通常の場合はフレミング左手の法則が成り立つ以上、何等熱力学第二法則等の物理法則に反するものではないと認められます。従って、Aよりも劣ったBを利用する私の装置も熱力学第二法則に反することはないと考えられます。

【図4】


☆第3節 環状電流について
「ボルテックスの入っている超伝導体をあたかも均質なものとして取り扱うことは問題であり、ボルテックス周辺ではクーパー対の運動量も均一ではなく、第2種超伝導体の正味電流のほとんどはボルテックス密度の勾配によって引き起こされる。ボルテックス周囲ではクーパー対の一部は環状電流を構成し、残りのクーパー対はその重心運動速度はゼロである。環状電流はボルテックスの濃度勾配がある場合には正味ゼロとならず、マクロな超伝導体全体の正味電流となる。その意味で、正味電流を扱う場合にはいずれにせよ均質な超伝導体を考えていて議論が成り立たない。」という疑問については以下のように答えます。
 確かに、正味電流がボルテックス密度の勾配に起因し、正味電流を確保するために不均質な第2種超伝導体材料を用います。また、ボルテックス周辺では運動量が異なるクーパー対もあります。しかし、私の装置で問題となるのは、正味電流だけであり、その他のクーパー対は問題となりません。そして、正味電流、すなわち永久電流を構成するクーパー対が同一の運動量で重心運動をしていて一斉にしか変化し得ません。
 なぜ、正味電流を構成しないクーパー対が問題とならないかというと外部に強い磁場を発生させているのが強い正味電流であり、強い正味電流の強い磁場によりケーブルに電磁力を発生させ、その反作用として正味電流に働く電磁力を問題としているからです。そして、環状電流が正味電流を構成してその一部となる場合には永久電流を構成する以上、当然運動量秩序に従います。そうでないと観測される永久電流が減衰してしまうことになるからです。ボルテックスに濃度勾配があって残る環状電流が正味電流のすべてと解する場合は、それこそが永久電流です。環状電流の一部が正味電流となると考える場合は、環状電流が運動量秩序に従わないと考えるなら、環状電流が残部の永久電流の運動量秩序を乱し、観測される永久電流が減衰してしまうと考えられます。
 これに対し、「環状電流が残部の永久電流の運動量秩序を乱し、観測される永久電流が減衰してしまうと考えられる」という部分に対する、「ボルテックスが入っていれば当然クーパー対の運動そのものはローカルに変化している。その分運動エネルギーは上がっている。しかし、それによって他のクーパー対との間でエネルギー散逸が起きているわけではないことに注意する必要がある。また、線材を通しての長さ方向の超伝導電流はボルテックス周囲の環状電流そのものによって運ばれていると考える。ボルテックス分布の勾配により、環状電流が全体として相殺されないからである。」という疑問に対しても、以下のように答えます。
 環状電流も減衰しない永久電流です。永久電流である以上、減衰しないために運動量秩序に従っています。だとすれば、私の理論では、磁束のローカルな影響も打ち消されてしまう場合があることになります。すなわち、環状電流はミクロな超電導磁石であり、私の考えてきたマクロな永久電流の流れる通常の超伝導磁石と同様に、磁束の影響を打ち消す場合があると考えられます。環状電流も運動量秩序に従っているからこそ、運動量秩序に従うマクロな永久電流を矛盾無く構成できるのです。
 そして、マクロな永久電流もその運動方向は、コイルをぐるぐる回って変化しているわけですから、電流の通り道の方向と一般化せざるを得ない。すると、環状電流も電流の通り道としてマクロ電流の分流として組み込むことができると考えられます。すなわち、正味電流と環状電流は超伝導コイル内で一体となって一つの回路を構成し、全体として運動量秩序に従うと考えられます。
 また、環状電流と正味電流の分岐・合流、または環状電流同士の分岐・合流は次のように説明します。すなわち、正味電流は環状電流の接線の方向に流れ、その接点で分岐・合流する。接点では正味電流と環状電流の方向は接線方向に一致します。接点以外では回路の別の部分であるので、マクロな永久電流と同様に方向が変化していてもかまわないことになります。
 同様に環状電流同士も、接点で電流のやりとりをします。


☆第4節 私の装置における脈流と交流の比較
脈流は私の装置において、極めて低電圧です。したがって、脈流磁場の波動の力は弱いものとなり、通常の交流のように超伝導磁石に悪影響を与えることがありません。仮に、私の考える脈流を同じ電圧の交流と比較しても、次の点が交流とは違います。
1.
私の考える脈流を通電した時間の半分は電流がゼロです。脈流においては、断続的に生じる電流ゼロの間に、運動量秩序の規制が成功する時間的余裕が与えられます。これに対して交流では、方向が逆転しても電流が流れていることには変わりありません。波形が時間を示す横軸と交差するときに、瞬間的にゼロになることはあっても、それ以外は、電流が連続して流れて、運動量秩序の規制に時間的余裕を与えません。
2.
正もしくは負の片方の成分しか持たない脈流による磁場は、磁力線の方向が逆転しません。これに対して、正と負の成分を持つ交流が与える磁場は、磁力線の方向が逆転します。この交流の磁力線の向きの逆転も、超伝導磁石の磁束の「ピン止め」にとって、問題になると考えます。超伝導コイルには、磁束が貫入していて、その磁束が永久電流と作用して電磁力を受けて外側へ向けて動くのを「ピン止め」によって防止し超伝導状態を守っています。
この磁束は、交流の磁場を超伝導磁石に加えたときの電磁力を考える場合、超伝導磁石の磁力線と交流による磁力線をベクトルとして合成したものを考えることになります。交流の場合は、磁力線が逆転する前と逆転する後を考えることになります。そして、これに交流の強さの変化による磁力線の強さの変化、すなわち磁力線のベクトルの長さの変化が加わります。このときの合成ベクトルの方向変化を考えます。これに対して、脈流の場合は、磁力線の逆転は考えずに、脈流の強さの変化による磁力線の強さの変化、すなわち磁力線のベクトルの長さの変化だけということになります。脈流についても、合成ベクトルの方向変化を考えます。
この二つの場合の、合成ベクトルの運動方向の変化の角度を考えると、交流の場合は平均して脈流の二倍ということになります。永久電流の方向は一定なので、この磁力線の方向変化により、電磁力の方向変化が起こります。交流の場合、脈流の二倍の角度の方向変化が連続して生じ、交流磁場による力が連続して「ピン止め」に加えられます。これにより、「ピン止め」が無効になる危険が増大し、超伝導状態に問題が生じると考えます。これに対して、脈流の場合は、方向変化が交流の二分の一であり、脈流磁場による力が断続して「ピン止め」に加えられるので、「ピン止め」は耐えることができると考えます。
以上の違いが、私の装置において重要となると考えます。この違いにより、正と負の成分を持つ連続的な交流は超伝導磁石の超伝導状態にとって問題を生じさせますが、正もしくは負の一方の成分しか持たない断続的な低電圧の脈流は装置を機能させると考えます。


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