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運動量秩序の研究(旧版)
(トップページ記載の通り、2004年6月20日にネット上に公開しました。)

最新版ではありません。
This is not the latest version.

目次
第1章 基礎理論
第2章 実験方法
第3章 理論的疑問について
第4章 私の装置の利用可能性
第5章 終わりに



★第1章 基礎理論(旧版)

☆第1節 前提・電流方向の運動量秩序
 超伝導コイルを流れる永久電流が抵抗0で流れ続けるのは、クーパー対の対状態そのものだけでなく、永久電流を構成するクーバー対のそれぞれが、同じ運動量を持った秩序ある状態にあるためと考えられています。クーパー対の持つ同じ運動量による一種のバンドが、クーパー対の通り道となり、完全導電性を保障していると考えられます。電子はフェルミ粒子であり、パウリの原理に従います。が、クーパー対はボーズ粒子であり、同じ運動量に凝結することが可能となるとされます。
 超伝導コイルを流れるクーパー対が、ある運動量から、ある運動量に変化するときは、すべての対が一斉に変化します。バラバラに変化すると、運動量が変位する間に抵抗を受け、完全導電性が崩れてしまいます。また、電子対の波を考えてみます。たくさんのクーパー対が対状態に凝縮するとき、すべて同じ位相をもって凝縮すると考えられます。電子波の位相は電子の運動量に比例します。位相がバラバラだと、運動量がバラバラになるからです。

超伝導の基礎理論に不案内な方は、早稲田大学理工学部「栗原研究室」の「超伝導とは」を参考にしてください。丁寧で正確な記述がなされています。

☆第2節 私の理論・電磁力方向の運動量秩序
 フレミング左手の法則によれば、外部磁場により、電流が流れる方向に垂直な方向(以下、「電磁力方向」と略します)に電磁力が発生します。今まで、超伝導によって生じるマクロな量子効果「運動量秩序」は電流が流れる方向(以下、「電流方向」と略します)を念頭においていました。それを電磁力が発生する方向にも考えるのが私の理論です。
 あるクーパー対を構成する超電子の運動量は、クーパー対を構成する超電子が反平行の運動をしているので、Pと−Pとなります。そのクーパー対に電場を加えたことにより超電子が持つ運動量をQとします。クーパー対1個の運動量は、2Qとなります。
(P+Q)+(−P+Q)=2Q
この2Qの運動量を共通して持つクーパー対により構成された永久電流が流れる超伝導コイルがあったとします。このコイルに磁場を加えてみます。この磁場による電磁力が永久電流に働き、超電子の運動量が変化します。運動量Pの超電子の運動量変化をΔPとします。すると−Pの超電子の運動量変化は−ΔPとなります。運動量Pと−Pの運動の向きが逆なので、働く電磁力の向きも逆となるからです。そして、運動量Qの変化をRとします。この場合のクーパー対の運動量は2Q+2Rとなります。
(P+ΔP+Q+R)+(−P−ΔP+Q+R)=2Q+2R
運動量Pと−Pの変化分はクーパー対の反平行の運動により打ち消されてしまうので、Pと−Pを変化させた電磁力は、クーパー対としては打ち消された格好になります。しかし、Qに対する運動量変化は残り、これが電磁力として超伝導コイルに働くと考えられます。
 私はこのクーパー対1個が持つ外部磁場による運動量2Rも運動量秩序に従うと考えます。すなわち、永久電流を構成するクーパー対の運動量2Rは同じ大きさを持ち、同じ大きさに一斉に変化すると考えるのです。運動量秩序を電流に対して垂直な電磁力方向に拡張して適用するのです。こう考えないとクーパー対1個の運動量2Q+2Rの大きさがそれぞれのクーパー対において異なる値をとることになり、クーパー対が同じ運動量に凝縮することで成立する運動量秩序が成り立たなくなると考えられるのです。
 従って、電子対は電磁力方向にも運動量秩序に従った動きをして、電磁力を超伝導コイル材料に伝えていることになります。

【図1】 磁場による運動量の一斉変化の例


☆第3節 電磁力方向の運動量秩序により起こる現象
 これから、超伝導磁石に時間的に変化する外部磁場を与えた場合を考えてみます。電磁力方向にも運動量秩序が生じている結果、次のような現象が起こるのではないかと考えられます。すなわち、運動量秩序に従った運動を起こすのに適さない移動する磁場を加えると、運動量秩序に規制されることが原因で、電磁力によってクーパー対が電磁力方向に運動量を変化させようとしても打ち消されるのではないかと考えられます。移動する磁場が時間的に変化し、超伝導コイルの各所に異なる大きさの磁場を生じさせるなら、永久電流を構成するクーパー対の運動量を変化させるはずの電磁力による力積(力×時間)が働いても打ち消されてしまうことが考えられるのです。この磁場による力積に従い、そのままクーパー対が運動量を変化させるとすると、クーパー対の外部磁場による運動量変化2Rが個々のクーパー対により異なることになってしまうからです。従って、2Rがそのような異なる値をとることを運動量秩序が許さずに規制して、電磁力による力積を打ち消すのではないかと考えられます。
 この運動量秩序による規制は超伝導のエネルギーを利用すると考えられます。そして、電子対にぶつかるのは質量ではなく電磁力であり、永久電流の質量が小さくても、超伝導のエネルギーを利用した規制が可能となると考えます。しかし、その超伝導のエネルギーにも限界があるので、運動量秩序による規制にも限界があると考えられます。それから、超伝導は電磁力の力積によるエネルギーを規制して取り込み、その取り込んだエネルギーを今度は規制の働きに使うエネルギーとしていることも考えられます。私は超伝導のエネルギーに限界があるので移動する外部磁場による電磁力の力積すべてが打ち消されるのではないと考えます。
 まず、前提として、ある時点において空間的に考えてみます。移動する磁場が、強さが異なるが一定の強さ以上の磁場を超伝導磁石各所の電子対に与えた場合を考えます。この場合、その一定の強さ以下の揃った磁場による電磁力は運動量秩序に反しないので、この電磁力の効果が打ち消される必要はないと考えます。これに対して一定の強さを越える磁場に従ってそのまま電磁力の効果が生じると運動量秩序が乱されます。従って、一定の強さを越える磁場の分による電磁力の効果は打ち消される必要が生じると考えられます。
 次にこれに時間的変化を加えて考えてみます。ここで、磁場による電磁力の影響が、超伝導磁石各所の電子対すべてにおいて、一定の時間内に一定の大きさ以上の力積に達する場合が考えられます。この力積により、超伝導磁石のそれぞれの電子対には一定の大きさ以上の運動量が生じ得ます。従って、その一定の大きさまでの揃った運動量はなんら運動量秩序に反しないので、その一定の運動量だけ電子対は運動量を変化させると考えられます。
 力積と力積により生じる運動量に一定の値を考えるのは電子対も量子だからです。
 一定の時間を考えるのは運動量秩序による規制の限界を考えてのことです。すなわち、運動量秩序による規制は超伝導状態のエネルギーを利用すると考えられます。そのエネルギーの能力には限界があります。運動量秩序による規制が機能するのにも時間的余裕が必要だと考えるのです。従って、運動量秩序による規制の力にも限界があり、一定の時間内に各電子対に電磁力による影響が累積して、すべての電子対において一定の値以上の力積に達しうるならば、もはやその一定の値までの力積による運動量変化に規制が働く必要はありません。そして、一定の値を越える電子対の力積も次の一定の時間内にすべて一定の値以上になるならば、この場合の電磁力による力積も打ち消されることはないと考えます。これに対して、各電子対に与えられる力積がすべて一定の値以上に達する時間が一定の時間を超えるならば、その時間的余裕のうちに、少なくとも一つの電子対に働いた力積は運動量秩序の規制により打ち消されて一定の値に及ばないでしょう。その結果、電子対の運動量の変化が生じません。
 常伝導体を重ね合わせるように超伝導磁石に固定し、その常伝導体に脈流(単相交流を整流したが平滑化していない電流)を流す場合を考えてみます。この脈流は0から一定の大きさまで時間的に変化して流れ、超伝導コイルの各所に異なる大きさの磁場を時間的に変化して与えることができます。
 脈流の速度と永久電流の運動速度を考えてみます。脈流は交流を整流したものですから、脈流の山の移動速度は光速度と考えてよいと思います。これに対し、永久電流の方は電磁力を受ける電子対の運動を考える訳ですから、山の移動速度よりも遅くなります。しかし、脈流の速度が電子対の運動速度よりも速いことは問題とならないと考えます。脈流の磁場が異なる大きさの電磁力を各電子対に与えながら、追い抜いていくことになります。ですから、永久電流を構成する電子対が脈流から受ける電磁力の強さは脈流の強さに従って異なることになります。一定の時間内に各電子対が脈流から受ける力積の値は脈流波形の山の高さ、すなわち脈流の強さに従って異なることになります。従って、運動量秩序による規制が働きます。
 イメージとしては脈流波形の山を縦に分割したスライスの一つが限定された時間内に電子対に与えられると言うことになります。これに対して仮に、非現実である脈流が電子対の運動速度よりも遅い場合を考えてみると、同じ限定された時間内に脈流の山全体がいくつも電子対に与えられるイメージになります。
 これに加え、脈流は交流を整流したものなので、電流は断続的に流れます。電流が流れる時間と電流が流れない時間が交互に現れ、その時間は同じです。従って、各所の異なる電磁力の影響が累積されて一定の時間内に一定の力積以上に達する前に、大きさが違う運動量を生じさせる力積として運動量秩序の規制により打ち消されてしまうと考えられます。すなわち、電流0の平地に接する山の端から食われて行きます。脈流の山の端から運動量秩序の規制により電磁力の力積が次々と打ち消されて行き、力積が0の状態の電子対が残ります。そして、脈流が0である時間のうちに運動量秩序の規制により残る電磁力の力積が打ち消されます。従って、各電子対に与えられる電磁力の力積が累積して一定の時間内にすべて一定の値以上に達することがなくなると考えられるのです。
 各電子対に働く力積がすべて一定の時間内に一定の大きさ以上に達することがなく、電子対の電磁力方向の運動量をすべて一定の大きさ以上に揃わせることのできる力積が累積する事がありません。少なくとも一つの電子対に生じた電磁力による力積が一定の時間内に運動量秩序により完全に打ち消されてしまうと考えられます。この現象が一定の時間が経過するたびに生じると考えられます。脈流の高速さと脈流波形の形状ゆえに、各所の電子対に与えられる力積が一定の時間内にすべて一定の大きさ以上の力積に達することはないと考えられます。従って、電子対と電子対が構成する永久電流は電磁力方向に運動量を変化させることができないことになります。ですから、超伝導コイルの材料が電子対から運動量を受け取って生じるはずの超伝導磁石の電磁力が生じないことになります。
 さらに、超伝導磁石に人間の手で永久磁石を近づけたり遠ざけたりする場合を考えてみます。この場合は脈流に比べると遥かに低速度で移動する磁場を与えたと考えられます。脈流の光速度を考えれば、永久磁石を手で近づけたり遠ざけたりすることは時間的にゆっくりしているからです。磁場の移動速度が電子対の移動速度よりもかなり遅い場合です。そのゆっくりした時間内に超伝導コイルを流れる永久電流を構成する電子対はコイルを多数回、回転し、各電子対は一定の時間内に一定の大きさ以上の力積を受けます。従って、運動量秩序により打ち消されることがなく超伝導磁石に電磁力が発生します。
 私は上述の脈流によって超伝導磁石に生じる現象を利用しようと考えました。

【図2】 脈流波形



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