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審査請求報告


2006年に日本国特許庁へ新出願した
「高周波超伝導電磁エンジン」(出願番号:特願2006-130763,公開番号:特開2007-278265)について
2007年7月10日、早期審査申請と同時に審査請求を行ったところ拒絶理由通知を受け、
意見書と手続補正書を提出し、
補正は受け入れられましたが拒絶査定を受けました。
以下に、その経過をご報告します。
なお、2007年11月13日に拙著「超伝導電磁エンジン詳説」を特許庁に提出しています。
補正前と後の出願の内容については、こちらをご覧ください。

1.拒絶理由通知(2007年11月6日)
2.意見書(2007年12月12日)
3.手続補正書(2007年12月12日)
4.拒絶査定(2008年4月1日)



★1.
拒絶理由通知の理由

(理由1)
 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国におい
て頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の
属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができ
たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができ
ない。

     記   (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1−3
・引用文献等 1,2
・備考
 引用文献1には、超伝導磁石に対して固定された位置にあるループに脈流を流
し、ループに発生した電磁力を推進力・制動力・浮力として利用する装置が記載
されている。
 引用文献2には、電源として高周波数の電源を用いることが記載されている。
 よって、流す脈流を高周波数の脈流とすることは、その発明の属する技術の分
野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が適宜なし得る
事項であると認められるから、本願請求項1−3に係る発明は、引用文献1、2
に記載されたものから当業者が容易に想到し得たものである。

(理由2)
 この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第
1号に規定する要件を満たしていない。

                 記
 発明の詳細な説明に「高周波超伝導電磁エンジンは、従来型の「超伝導電磁エ
ンジン」を完成させて、小電力で強大な磁界を維持できる超伝導磁石が原因で電
気エネルギーの増幅が実現できる。」旨記載されているが、エネルギーが増幅す
るという事項は通常の自然法則に反する事項である。
 よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1−3に係る発明を
実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。


           引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2005−185079号公報
2.特開平11−299010号公報
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
           先行技術文献調査結果の記録

・調査した分野  IPC F03G 3/00
             H02K55/00

 この先行技術文献調査結果の記録は拒絶理由を構成するものではありません。



★2.
意見書の意見の内容

平成19年11月6日付の拒絶理由通知書により指摘された箇所については、平成19年
12月12日に補正の手続きを行っており、よって本拒絶理由は解消されていると思われ
ます。
(理由1)について。
 審査官殿は、拒絶理由通知書に文献1と文献2を上げられ、「当業者が適宜なし得る事
項である」と認められるから、特許を受けることができないと言われます。
 文献1:特開2005−185079号公報/段落番号を<00xx段落>という形式
で表示します。
 文献2:特開平11−299010号公報/段落番号を[00xx段落]という形式で
表示します。
 しかし、文献2は、別種の発明において高周波の電源が使用されている例を示したに過
ぎません。もしも、ある発明において、その発明で使用されている要素が既に別の発明で
使用されているならば、その要素を使用するのは容易であるという一般論が成り立つとす
るならば、既に使用されている要素を組み合わせた発明は、すべて容易に発明できたと言
うことになってしまいます。容易であるか否かは、私の発明に即して具体的に判断すべき
ものと考えます。本願発明は文献1の発明を完成させたものですから、通常の周波数の脈
流の文献1を前提にして、私の主張する高周波の脈流を発想・実施することが容易か否か
で判断すべきものと思料します。
 加えて、私の主張する脈流は単なる高周波数の脈流ではありません。本願の明細書の段
落0013で述べているように、「周波数は、その波長がループの一周の長さと一致する
程度の高周波数」でなければなりません。このことは、本願の図3において示してもあり
ます。符号の説明は段落0021の6です。この点に対応して明確にするために、本願の
特許請求の範囲の請求項1の補正を行いました。以下、本願発明の段落番号を(段落00
xx)という形式で表示します。
 私の発明に即して文献1の通常の周波数の脈流から特定の高周波数の脈流を発想・実施
することが容易か否か詳しく意見を述べます。
 確かに、純粋な可能性としては、どのような波形でも、どのような電圧(振幅)でも、
どのような周波数(波長)の脈流でも流す可能性はあるでしょう。しかし、その可能性の
幅は非常に大きく広くその中から正解にたどり着くには大きな努力と粘り強さが必要であ
り困難です。あらゆる可能性の中のほとんど大部分が不正解であって装置を機能させるこ
とができず、装置のサイズに応じた一定の超高周波数だけが装置を機能させるからです。
 当業者は、まず、50ヘルツか60ヘルツかの周波数の脈流を流すでしょう。電力会社
の供給する電力の周波数がこの周波数だからです。また、私の出願やホームページは通常
の周波数の脈流を想定していました。当然、高周波数を示唆する記述は一切ありませんで
した。「不安定な磁界」<文献1の請求項1>、すなわちゼロからある大きさまで強さの
変動する脈流の磁界でありさえすれば、装置が機能すると考えていたのです。装置が機能
するのは、「脈流の作る磁界が極めて不安定なため超電流に運動量秩序に従った運動をさ
せるために必要な安定した磁界とはならない」<0013段落>からだと考えていたので
す。ですから、この発明に関する第一人者である私の考えに従って、通常の周波数の脈流
を流すでしょう。
 しかし、正解ではないので当然、装置は機能しません。そこで諦める業者も多いでしょ
う。諦めなかった業者は、依然として私の指示する通常の周波数において、様々な波形、
様々な電圧やその組み合わせを試してみるでしょう。
 しかし、正解ではないので当然、装置は機能しません。ここで諦める業者がほとんどで
しょう。諦めなかったごく少数の業者が、通常の周波数を変える事を考えてみるでしょう
。低周波数や高周波数を試してみるでしょう。
 さらに、高周波数ですと、低周波数よりも脈流の波動のエネルギーが強くなり、悪影響
を与えるのではないかとも(装置を機能させるためには現実には高周波数が必要ですが)
実験する者は考えるでしょう。ですから、低周波数の方を先に試すでしょう。
 しかし、正解は、通常の周波数からかけ離れた「その波長がループの一周の長さと一致
する程度の高周波数」(段落0013)です。本願発明が利用する高周波は、「脈流の磁
界によるローレンツ力がゼロの部分が超伝導磁石に恒常的に存在することになる」(段落
0013)ようにするためのものです。そのため、本願発明の周波数は、「その波長がル
ープの一周の長さと一致する程度の高周波数」でなければならないのです。そうでなけれ
ば、装置が機能しません。ですから、「その波長がループの一周の長さと一致する程度の
高周波数」が、通常の周波数の脈流を想定する文献1と本願発明の最大の相違点です。私
が文献1の発明を出願した時点では、通常の周波数で装置が機能すると考えていました。
ですから、発明が完成したと考えて、出願を行いました。しかし、その後、未完成ではな
いかと思うようになり、考えに考え抜いた末、「その波長がループの一周の長さと一致す
る程度の高周波数」でなければならないことに思い至りました。そして、出願を行い、今
度こそ本当に完成したと考えたので、審査請求を行いました。
「その波長がループ一周の長さと一致する程度の高周波数」のみが正解である理由につい
て説明を加えます。装置が機能するためには、「脈流の磁界によるローレンツ力がゼロの
部分が超伝導磁石に恒常的に存在することにな」(段落0013)らなければなりません

 ところが、「その波長がループ一周の長さと一致する程度」に満たない低周波数の場合
は、脈流の磁界が超伝導磁石全体に及ぶ時間と脈流の磁界が超伝導磁石に全く及ばない時
間が交互に現れます。前者の場合、脈流の磁界が超伝導磁石全体に作用することになりま
す。後者の場合は、超伝導磁石だけが存在するのと同じことになってしまいます。そして
、脈流の磁界が超伝導磁石の上に部分的に及ぶのは、比較してごく短い時間に過ぎません

 逆に「その波長がループ一周の長さと一致する程度」を超える高周波数の場合は、超伝
導磁石の上に脈流の磁界の及ぶ部分が超伝導磁石を分割するように複数あることになりま
す。この複数の部分の磁界が互いに強め合って、超伝導磁石全体に磁力を及ぼすことにな
ります。
「その波長がループ一周の長さと一致する程度の高周波数」(段落0013)の場合のみ
、「脈流の磁界によるローレンツ力がゼロの部分が超伝導磁石に恒常的に存在する」(段
落0013)ことになり、装置が機能するのです。「その波長がループ一周の長さと一致
する程度の高周波数」を超えても、満たなくても、装置は機能しません。「その波長がル
ープ一周の長さと一致する程度の高周波数」は、限界を画する概念なのです。
 この「その波長がループ一周の長さと一致する程度の高周波数」という表現を数式に移
して計算すると、本願発明の装置のサイズに応じて超高周波数とも言えるVHFやUHF
程度の範囲に属する一定の周波数になります。これは、50ヘルツや60ヘルツの通常の
周波数からはかけ離れた数値範囲です。例えば、超伝導磁石のループの一周の長さを1.
6メートルとする超伝導電磁エンジンがあるとします。この超伝導電磁エンジンを機能さ
せるのに必要な周波数を求めます。波長は光速度を周波数で割ったものなので、
3×108÷周波数=1.6
これを解くと、周波数は、187.5メガヘルツ程度の超短波電流に相当するものとなり
ます。
 ここで、「数値範囲の最適化又は好適化」について意見を述べます。本願の発明は、装
置が機能する数値範囲の中から最も良く機能する数値範囲又はより有利に機能する数値範
囲に限定したものではありません。装置が機能しない数値が99パーセント以上である範
囲の中から、これでなくては装置が機能しないという限定された数値を新発見したもので
す。この限定された数値ではないと装置が全く動かないのです。そして、これは文献1が
主張している通常の範囲の周波数から限定したものでもありません。通常の周波数の範囲
外から一定の数値に限定したものです。数値の限定ではなく、変更とも言えます。しかも
、かけ離れた数値に変更しています。あらゆる可能性(通常の周波数の範囲を除く)の周
波数の中から、本願発明により、超高周波数の範囲を見出して、その超高周波数の範囲か
ら装置が機能するにはこうでなくてはならないという一定の周波数を新発見したものです
。装置が機能する数値を努力により新発見したものです。本願発明により限定された「そ
の波長がループの一周の長さと一致する程度の高周波数」においてのみ装置が機能する効
果が生じ、その限定外では装置が機能しないのです。容易な数値範囲の最適化又は好適化
では決してありません。
 さらに、本願発明と文献1の発明の課題が共通し両者の相違が数値限定の有無のみであ
るとしても、有利な効果について、数値限定の内と外で顕著な差異があります。内では装
置が機能するのに対して、外では装置が機能しないのです。効果の量どころか、質的に異
なる顕著な差異があるのです。範囲外は量的にゼロなのです。量的に顕著な差異よりも、
尚一層顕著で重大な差異である装置の機能の有無という差異があるのです。元の数値(通
常の周波数の脈流)と変更された数値はかけ離れていて発見困難である上に、変更された
数値の内と外では、効果において、装置の機能の有無という顕著で重大な差異があるので
す。本願発明の数値限定は臨界的意義を有しているのです。
 あらゆる可能性のうち、装置のサイズに応じた一定の超高周波数だけが正解であり、そ
の他のすべての膨大な可能性は間違っているのです。文献1の発明は、本願発明に記載さ
れている新発見無しでは、装置が機能しない未完成発明ということになります。文献1の
発明では、電磁力を推進力・制動力・浮力として利用する目的を達することができないの
です。この本願発明の意義は、明細書において、次のように説明・主張されています。「
従来型の「超伝導電磁エンジン」(特許文献1参照)がある。「超伝導電磁エンジン」に
流す脈流は、通常の周波数では装置が機能しないと考えられる。そこで、高周波超伝導電
磁エンジンは、装置を機能させる脈流の性質を明らかにして「超伝導電磁エンジン」を完
成させたものである」(段落0002)。これは臨界的意義の主張でもあります。端的に
言えば、本願発明の最大の意義は臨界的数値を新発見したことにあるのです。本願発明の
「要約」の「課題」においても、「従来型の「超伝導電磁エンジン」を完成させ」るもの
だと述べています。本願「発明の詳細な説明」の他の段落においても、「従来型の「超伝
導電磁エンジン」を完成させ」るものだと述べています(段落0003、段落0009、
段落0010、段落0011)。
 本願発明においては従来型の「超伝導電磁エンジン」を完成させた新発見の力により、
素晴らしい効果を目にすることが出来るのです。
 次に、当業者が実験している場合に、文献2の発明を思い出して「その波長がループ一
周の長さと一致する程度の高周波数」に思い至り実施するかどうか、本願発明と文献2と
の相違点を述べます。
 本願発明があらゆる乗り物に使用できる軌道を必要としないエンジンなのに対して、文
献2の発明は軌道(走行路)を必要とする搬送用の台車に過ぎません。脈流を使用するこ
とも想定していません。超伝導のマクロな量子効果運動量秩序を利用する私の発明とは別
種の発明であるとともに、目的(効果)も違います。本願発明の目的は、「軌道設備を必
要とせずに電気エネルギーを直線的運動エネルギーに変換すること」(段落0003)に
より、「推進力・制動力・方向転換力」(段落0009)や「重力を打ち消すことができ
る浮力」(段落0009)を得ることです。これに対して、文献2の発明の目的は「低コ
スト化及び走行安定性の向上を図った搬送台車を提供すること」[0006段落]です。
文献2の発明の構造も本願発明とは全く違います。本願発明は、超伝導磁石にその形状に
沿ってループを固定する構造になっています。この本願発明の特徴的構造が文献2には存
在しません。
 文献2の発明の高周波数は、リニアモータを装備した台車の走行に同期する程度の周波
数に過ぎません。また、文献2の発明には装置のある部分を基準にしてそれと一致する程
度の周波数を意味する文言は全くありません。単に高周波とするだけです。
 以上から、私の発明を実験する際に文献2を思い出して高周波電源を用いる人がいると
は思えませんし、「その波長がループの一周の長さと一致する程度の高周波数」に思い至
り実施するとは考えられません。
 様々な周波数の中、超高周波数を実験した人がいたとしても、その中でも、幸運にも「
その波長がループの一周の長さと一致する程度の高周波数」にたどり着いた者のみが、装
置が機能することを目にすることになるでしょう。
 文献1の発明に執着している私ならば、最後まで諦めないでしょう。しかし、長い時間
と多大の努力を要するでしょう。他人の発明にそれほど執着する人はいるでしょうか。途
中で諦めてしまうでしょう。
 発明に非常に執着し研鑽を積んできた私は、正解にたどり着きました。しかし、それに
は文献1の発明の出願から、本願の出願をするまでの期間が必要でした。考えに考え抜く
必要がありました。
 さらに、本願と文献1の明細書の記述から「その波長がループの一周の長さと一致する
程度の高周波数」ということの他の有意義な相違点を、以上に加えて述べさせてもらいま
す。
・ 文献1では、「丈夫で消費電力が少ない形状の金属の常伝導体」<0012段落>と
二つのメリットを明らかにするだけです。これに対して、本願明細書では、「流す電流を
低電圧にできるので、電流が作る磁界の波動の力が弱く、超伝導磁石に悪影響を与えない
」(段落0012)という三つ目の装置の機能に関わる重要なメリットも記述しています

・ 文献1では、「絶縁材で覆って脈流が漏れないようにする」<0012段落>と絶縁
に配慮するだけです。これに対して本願明細書では、「絶縁材は力が加わっても破れない
丈夫なものを用いる」(段落0013)とし、絶縁材にかかる力を問題にして、解決の方
法を示しています。
・ 文献1では、「常伝導体1に働く電磁力の強さは脈流の強さを変えることでコントロ
ールできる」<0014段落>という方法を述べるだけです。これに対して本願明細書で
は、「電磁力の強さは、常伝導体のループの長さ、超伝導磁石の長さを変えることで、変
化させることができる。また、電磁力の強さは、超伝導磁石の磁界の強さを変えることで
、変化させることができる。そして、電磁力の方向は、脈流の方向を逆転させることで、
逆転できる」(段落0015)と、推進力の強さを変化させる方法を二つ、推進力の方向
を逆転させる方法を一つ追加しています。
・ 文献1では、「電磁エンジンと電源・冷却器との接続については、必要な回転エネル
ギーの性質に従い、電磁エンジン・電源・冷却器を一体として回転軸の延長に固定する」
<0015段落>方法の他に、「接続する電気ケーブルを導電性のある流体継ぎ手を用い
て回転できるようにするとともに、冷却器に接続する菅についても回転に耐えられる継ぎ
手を用いる」<0015段落>としています。これに代えて、本願明細書では、「回転軸
とともに回転する二つの端子とブラシを用いて、電気ケーブルを高周波電源から高周波超
伝導電磁エンジン・冷却器に接続する」(段落0016)方法を提示しています。文献1
の方法が、実用的ではないと考えたからです。
・ 文献1の発明では、「乗り物の船体の骨格に複数の電磁エンジンを固定し、推進力・
浮力・制動力を与える」<0017段落>とするだけです。これに対して本願明細書では
、「乗り物の船体の骨格に複数の高周波超伝導電磁エンジンを固定して電子制御し、推進
力・浮力・制動力を与える。配電については、電源から高周波超伝導電磁エンジンの直前
までは高電圧として消費電力を抑え、変圧して低電圧にして高周波超伝導電磁エンジンに
高周波数の脈流を流す」(段落0018)という具体的解決方法を示しています。
 特許制度の本旨に則り、発明者の努力を認めて評価し、進歩が促されるようにしていた
だけるようにお願い致します。
 以上のように本発明は、拒絶理由通知書に引用された文献によっては、当業者が容易に
想到しうるものではないので、再度の審査をお願い致します。
(理由2)について
 審査官殿は、「エネルギーが増幅するという事項は通常の自然法則に反する事項である
」と言われます。
 確かに、電気エネルギーが他から何のエネルギーも加えられずに増幅すれば、自然法則
に反します。しかし、電気エネルギーに、他の何らかのエネルギーが加わって、その電気
エネルギーが増幅することは自然法則に反しないと考えます。私の主張は、脈流のエネル
ギーに超伝導磁石のエネルギーが加わって、脈流のエネルギーよりも大きな電気エネルギ
ーが得られるということです。そのことを「超伝導磁石が原因で」と申し上げました。こ
の点に対応して、本願明細書の段落0011の補正を行いました。私には、自然法則に反
する主張をするつもりはありませんでしたし、これからもありません。
 詳しく述べます。超伝導電磁エンジンは、超伝導磁石の磁場のエネルギー(A)と脈流
のエネルギー(B)と超伝導磁石を低温に保つための電気エネルギー(C)を利用します
。これらを利用して超伝導電磁エンジンが持つ推進力のエネルギー(D)は、利用するエ
ネルギー(A+B+C)よりも、小さいものです。
D<A+B+C
そして、超伝導電磁エンジンを利用した発電による得られる電気エネルギー(E)は、超
伝導電磁エンジンが持つ推進力のエネルギー(D)よりも小さいものです。
E<D
ですから、
E<D<A+B+C
となり、熱力学第二法則に反しません。
ただし、E>B+C
という関係を成立させることができます。
差し引き大きい分(E−B−C)だけ、供給した電力(B+C)よりも大きい電力(E)
を手に入れることが可能です。このことに関する具体的計算例については、既に提出済み
の「超伝導電磁エンジン詳説」をご覧ください。
 このような供給した電力(B+C)とそれよりも大きい電力(E)との関係を増幅と申
し上げましたが、訂正しました。また、本願の明細書では、「超伝導磁石を低温に保つた
めの電気エネルギー(C)」は大きくないので、無視しました。
 以上のように本発明は、自然法則に反するものではなく、当業者が実施できるものです
ので、再度の審査をお願い致します。


★3
補正の内容
【手続補正1】
 【補正対象書類名】 特許請求の範囲
 【補正対象項目名】 請求項1
 【補正方法】    変更 【請求項1】
 超伝導磁石に対して固定された位置にあるループにその波長がループの一周の長さと一
致する程度の高周波数の脈流を流すことにより、そのループに超伝導磁石の磁界による電
磁力を発生させる一方、その程度の高周波数の脈流磁界が作用して超伝導磁石の永久電流
に働く電磁力の力積が運動量に変化しない無効となるので、ループに発生した電磁力を推
進力・制動力・浮力として利用するエンジン。
【手続補正2】
 【補正対象書類名】 特許請求の範囲
 【補正対象項目名】 請求項2
 【補正方法】    変更
 【補正の内容】
  【請求項2】
 請求項1のエンジンを複数回転軸ないしその延長に固定し、請求項1のエンジンに回転
半径に対して垂直な同じ回転方向の推進力を生じさせ、請求項1のエンジンとともに回転
軸とその延長を回転させる装置。
【手続補正3】
 【補正対象書類名】 特許請求の範囲
 【補正対象項目名】 請求項3
 【補正方法】    変更
 【補正の内容】
  【請求項3】
 請求項2の装置を発電機に装備して、請求項2の装置とともに発電機を回して電力を得
る電力発生装置。

【手続補正4】
 【補正対象書類名】 明細書
 【補正対象項目名】 0011
 【補正方法】    変更
 【補正の内容】
  【0011】
 高周波超伝導電磁エンジンは、従来型の「超伝導電磁エンジン」を完成させて、小電力
で強大な磁界を維持できる超伝導磁石が原因で脈流のエネルギーよりも大きな電気エネル
ギーを実現できる。すなわち、脈流のエネルギーに超伝導磁石のエネルギーが加わって、
脈流のエネルギーよりも大きな電気エネルギーを得られる。




★4
拒絶査定の内容

 この出願については、平成19年10月30日付け拒絶理由通知書に記載した
理由1によって、拒絶をすべきものです。
 なお、意見書並びに手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足
りる根拠が見いだせません。

備考

 超伝導磁石に対して固定された位置にあるループに流す脈流を、その波長がル
ープの一周の長さと一致する程度の高周波数の脈流とすることは、その発明の属
する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が
適宜設定し得る事項であると認められる。
 よって、本願請求項1−3に係る発明は、先の拒絶理由通知で提示した引用文
献に記載されたものから当業者が容易に想到し得たものである。




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