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超伝導関連年表


※表中の「超伝導の世界」とは、
『超伝導の世界―なぜ起こる?どう使う?』 (講談社ブルーバックス)
大塚 泰一郎 (著)




1877年


1898年



1908年





1911年





1926年

1933年














1935年



























1937年





1950年











1957年








1961年




1962年







1963年





1964年




1965年


1973年




1986年








1987年



1988年









1993年


低温冷却
フランスのカイエテとピクテが独立に、永久ガスの一つ、酸素の液化に成功。

英国のデュワーが初めて水素の液化に成功。液体水素の沸点20.4K。


7月10日 オランダはライデン大学のハイケ・カノマリン・オネスが初めてヘリウムの液化に成功。液体ヘリウムの沸点4.2K。


超伝導の基本理論
オランダはライデン大学のハイケ・カノマリン・オネスが水銀で超伝導状態を発見。
オネスは超伝導状態の研究を行い、臨界電流および臨界磁場を発見する。永久電流の実験も行う。

オネス死去

ドイツのマイスナー(W. Meissner)と弟子のオクセンフェルド(R. Ochsenfeld)が超伝導体内部の磁場が常にゼロである現象を発見。この超伝導が磁場を常に排除する効果は、その後、発見者の名に因んでマイスナー効果と呼ばれるようになる。
電気抵抗ゼロ(完全導電性)であれば、電磁誘導法則に従い、超伝導体内部の磁場は常にゼロなのではなく、磁場の履歴に従い、幾通りもの答えを持つはずである。なのに、常にゼロであると言うことは、超伝導が完全導電性だけでは導けない独立した現象であり、マイスナー効果という基本的性質を持つことを示す。

ロンドン兄弟(Friz London and Heinz London)が、超伝導状態は過去の履歴にかかわらず超伝導体内部の磁場がゼロという特別な解しか許さないという仮定に基づいたLondon方程式を発表した。
磁場により電子に働くローレンツ力の方向は、電子の運動方向に対して垂直で電子の運動方向を曲げているだけなので、常伝導状態では、磁場中の電子の平均速度はゼロであるが平均運動量はゼロではない。ところが、
「超伝導状態では(超電子の)平均速度がゼロでなくなり、(磁場による)余分の運動量を打ち消して(超電子の)平均運動量をゼロにしていることをロンドン方程式が物語っている」(「超伝導の世界」139頁)
なぜ、このようなことが起きるか。それは、運動量秩序によるものである。
「磁場のない時、超電子の平均速度がゼロになってるのは、超電子が乱雑な運動をしているためではなく、すべての超電子が等しく運動量ゼロをもつ状態にあるためである。そしてこの状態は磁場を加えても変わりえない。したがって運動量ゼロの状態を保つべく超電子がいっせいに同じ速度をもって流れ出すというのが運動量秩序の考えである。」(「超伝導の世界」139〜140頁)







ランダウ(Lev Davidovich Landau)は、ギンズブルグ(Vitaly L. Ginzburg)と共にGL方程式を発表した。「超電子はみな同じ位相をもって一つの運動量状態に凝縮している」(143頁)と考え、「超伝導状態を同じ波長をもつ膨大な数のミクロな超電子の波がそろったマクロな波動で表す」ことにした。

1950年 英国のフレーリッヒがフレーリッヒ相互作用により電子間に引力が生じることを示した。

バーディーン(John Bardeen)、クーパー(Leon Neil Cooper)、バーディーンの学生シュリーファー(John Robert Schrieffer)がBCS理論を発表した。
超伝導状態は、反平行運動をする電子が電子間引力により一組となって多数のクーパー対を形成し、すべてのクーパー対が同じ運動量に凝縮した状態であるとした。
































高温超伝導
スイスのIBM研究所のベドノルツ(J. Georg Bednorz)とミューラー(K. Alexander Muller)がLa2-xBaxCuO4の臨界温度が30Kであると示唆する実験結果を発表する。
東大工学部の田中昭二教授グループが、ベドノルツらの発表が超伝導状態への転移によるものであることを確認する。

アメリカのチュー(C. W. Chu)らが、液体窒素の沸点(77K)を越す臨界温度をもつYBa2Cu3O7-xを発見する。臨界温度93K。

金材技研の前田弘氏が100Kを越す臨界温度をもつBi系銅酸化物超伝導体(BiSrCaCu2Ox)を発見する。臨界温度105K。

1988年 ハーマン(アーカンソー大)などが、Tl系銅酸化物超伝導体(Tl2Ba2Ca2Cu3Ox)で超伝導を観測。臨界温度120K。


スイスのチューリッヒ工科大学のグループがHg系銅酸化物超伝導体(HgBa2Ca2Cu3Ox)で超伝導を観測。臨界温度133K。







Heike Kamerlingh Onnes
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ハイケ・カノマリン・オネス
第二種超伝導体
1937年 ソ連のシュブニコフ(L. V. Shubnikov)が、合金超伝導体において、通常の他に、2種の臨界磁場(第2種超伝導体の下部臨界磁場と上部臨界磁場に相当する)を発見する。














1957年 ロシアのアブリコソフ(Alexei A. Abrikosov、ランダウの弟子)が第2種超伝導体の存在を理論的に予言し、シュブニコフの合金がこの新しいタイプに属することを示した。




1961年 アメリカのベル研究所のグループはNb3Snが比熱のデータから求まる臨界磁場の50倍もの高磁場を保持できることを発見する。

1962年 英国のグループがNbとTaの合金の超伝導磁化曲線を測定し、下部臨界磁場と上部臨界磁場を観測する。
1962年 英国のグッドマン(B.Goodman)が、アブリコゾフの理論を見出し、第2種超伝導が西側で再発見される。
















1973年 ニオブ3ゲルマニウム(Nb3Ge)が液体水素の沸点を越える23.5Kの臨界温度を持つことが発見される。











































ジョセフソン効果
1962年 ケンブリッジ大学の大学院生ブライアン・ジョセフソンが、薄い絶縁膜で隔てられた二つの超伝導体の間にクーパー対のトンネル電流(ジョセフソン効果)を予言する。


1963年 ベル研究所のアンダーソンとローウェルが直流ジョセフソン効果を実験により確認する。
1963年 アメリカのシャピロが交流ジョセフソン効果の存在を間接的に検証する。

1964年 超伝導体のリングの2個所にジョセフソン接合を持ち微少な磁場を測定できるdcSQUID(Superconducting QUantum Interference Device、超伝導量子干渉素子)が発明される。

1965年 超伝導体のリングの1個所のみにジョセフソン接合を持つrfSQUIDが発明される。








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