エアカー概念設計
超伝導電磁エンジンによりエアカーが実現可能であることを示すために著しました。
3.エアカー
乗用車を、超伝導電磁エンジンを使用して空中を自由自在に飛べるようにしたものです。
超伝導電磁エンジンは7台使用します。5台は重力の打消しと上昇・下降用、2台は、前進・後退と方向転換用です。無冷媒式の超伝導磁石を用いると、超伝導電磁エンジン7台用に大きな電源を用いることにもなるので、冷媒式の超伝導磁石を用います。
普通の体重の人なら四人以上乗れる500キログラムの重量を積載できるものとします。
各部の重量は、次のように想定します。
超伝導電磁エンジン1台 30キログラム
常伝導体 10キログラム
超伝導磁石 20キログラム
超伝導電磁エンジン7台 30×7=210キログラム
冷却器系 100キログラム
電源(発電機) 2台 110×2=220キログラム
電気・電子系 140キログラム
フレームその他の車体 460キログラム
車体総重量 1130キログラム
満載したときの総重量が1630キログラムとなります。
満載しても動けるように、上昇・下降する力を最大で、1800キログラム重とします。
これを5台の超伝導電磁エンジンで得るので、
1台当たりの最大推力は360キログラム重となります。
360×5=1800
超伝導電磁エンジン7台と発電機と冷却器の配置は次のようになります。
後方に、電磁エンジンの推進力が水平方向に働くように、電磁エンジンを左右2台、飛翔体の骨格に固定します。前進と後退と方向転換に用います。前進と後退には左右二つの電磁エンジンに同じ大きさの推進力を同じ方向に発生させます。方向転換には、左右2台の電磁エンジンの推進力の大きさを異なるようにする方法と、左右2台の電磁エンジンによる推進力の方向を異なるようにする方法を組み合わせて行います。
下面に、五つの電磁エンジンを長方形に配置します。電磁エンジンの推進力が天地方向に働くように、電磁エンジンを飛翔体の骨格に固定します。浮力を得るためと、機体の安定のためと、上昇・下降する力を得るためです。前方には2台、後方に3台配置します。
制動には7台の電磁エンジンを使用します。脈流の方向を逆転させて推進力を逆転することにより行います。電磁エンジンの推力をゼロにするエンジンブレーキは原則として働きません。空中を飛行し、空気抵抗しか働かないからです。しかし、上昇に対してのみは、エンジンブレーキが可能です。重力を利用できるからです。
☆常伝導磁石について
超伝導磁石の与える磁場が5テスラ。
常伝導磁石の常伝導体には鉄を使用します。
常伝導磁石の一回りの長さが1メートル。
常伝導体の断面積を10−3平方メートル。
鉄(鋼鉄)の抵抗率を20×10−8オーム・メートル。
鉄の密度を7.87×103キログラム/メートル3。
以上を前提として計算します。
常伝導体の重さは、
7.87×103×10−3×1=7.87キログラム
10キログラム未満の想定内です。
常伝導体の電気抵抗は、
20×10−8×1÷10−3=2×10−4オーム
一台当たり必要な力は、360×9.8ニュートン。
この力を超伝導電磁エンジンにより得る場合の必要な電流の強さ(I)を求めます。
F=BILですから、
360×9.8=5×I×1
I=705.6アンペア
この値が、最大電流に2/πをかけて2で割ったものになります。
ですから、最大電流は、
π×705.6アンペア
実効電流は最大電流を√2で割ったものです。
π×705.6÷√2≒1567アンペア
このときの常伝導体の消費電力は、
(1567)2×2×10−4≒492ワット
ちなみに電圧は、
1567×2×10−4=0.3134ボルト
☆配線に使用する銅製ケーブルについて。
銅製ケーブルの長さを30メートル。
銅製ケーブルの断面積は3×10−4平方メートル。
銅の抵抗率を2×10−8オーム・メートル。
銅の密度を8.96×103キログラム/メートル3
以上を前提として計算します。
銅製ケーブルの重さは
8.96×103×3×10−4×30≒80.7キログラム
電気・電子系140キログラムに約60キログラム程度残ります。
銅製ケーブルの電気抵抗は
2×10−8×30÷(3×10−4)=2×10−3オーム
このときの銅製ケーブルの消費電力は、
(1567)2×2×10−3≒4911ワット
常伝導体6個と銅製ケーブルの消費電力は、
492×7+4911=8355ワット
これに加えて、冷却器系に400ワット必要としても、
5キロワットの電源が二台あれば、まかなえると考えます。
これには、「ヤマハ発電機EF6000E-YAMAHA 4サイクル発電機」が適当と考えます。
この発電機の連続運転時間は、6.9時間です。
300キログラムを載せた場合の加速性能を示します。
総重量は、1130+300=1430キログラム
上昇加速性能を計算します。
360×5×9.8−1430×9.8=1430×α
これを解いて、
α=2.53メートル/秒2
前進加速性能を計算します。
360×2×9.8=1430×α
これを解いて、
α≒4.93メートル/秒2
満載(500キログラム)の場合の加速性能を示します。
総重量は、1130+500=1630キログラム
上昇加速性能を計算します。
360×5×9.8−1630×9.8=1630×α
これを解いて、
α≒1.02メートル/秒2
前進加速性能を計算します。
360×2×9.8=1630×α
これを解いて、
α≒4.32メートル/秒2
発電機の性能から、これらの力を6.9時間連続して出せることになります。