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運動量保存則と電磁エンジンの関係


 今まで、作用・反作用の法則と超伝導電磁エンジンの関係については論じてきましたが、超伝導電磁エンジンが運動量保存則に反しないことは当然のこととして論じませんでした。

 「ファインマン物理学T 力学」新装版(岩波書店刊)の「第10章 運動量の保存」における「10-1 ニュートンの第3法則」で作用・反作用の法則について述べてから、「10-2 運動量の保存」の冒頭で「さて上に述べた関係からどんな大切な結果が出てくるだろうか?」(137頁20行)と述べて、運動量保存則を説明しているように、運動量保存則は作用・反作用の法則を前提とした経験則であるからです。作用・反作用の法則に反しないならば、当然、運動量保存則に反しないという関係にあると考えられるからです。

 しかし、改めて運動量保存則と超伝導電磁エンジンの関係を説明します。
 運動量保存則は作用・反作用の法則を前提とした経験則であり、物体の衝突により作用した力積(力×時間)が、そのまま運動量に変化することを前提としています。すなわち、作用・反作用の法則から物体が衝突した場合には通常はこうなるということを述べたに過ぎず、例外を否定するものではありません。作用した力積(力×時間)が、何らかの原因により、通常の運動量ではなく、光や熱、音、振動、方向が通常とは違う運動量などの形態に変化することを否定するものではありません。一部が熱や振動に変化する非弾性衝突は、その例外に属すると言えます。

 超伝導電磁エンジンは、物理と超伝導の基本原則に従った合理的推論により発見された超伝導の特別な現象を利用します。輸送電流に働いた「電磁力」の力積が、超伝導の基本原則を原因として、通常(電子対の重心運動)とは違う形態、主として電子対の反平行運動に変化するという現象を利用するものです。
 超伝導電磁エンジンは、超伝導の基本原則・運動量秩序のために、輸送電流に作用した「電磁力」の力積(力×時間)が電子対の重心運動を動かしてその運動量になって「磁力」を生じさせるという通常の形態をとれないというこの特別な現象を利用したものであり、非弾性衝突と同様に運動量保存則の例外として認められるべきものです。したがって、超伝導電磁エンジンは、物理と超伝導の基本原則に従い、運動量保存則の例外として機能します。

 また、超伝導電磁エンジンでは、「電磁力」の力積が通常とは違う形態に変化するだけなので、エネルギー保存則に反しないことはもちろんです。


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